セッション情報 一般演題

タイトル 16:

大腸内視鏡による大腸癌死亡抑制効果のシュミュレーション

演者 尾田 恭(服部胃腸科)
共同演者 蓮田 究(服部胃腸科), 田中 朋史(服部胃腸科), 後藤 英世(服部胃腸科), 服部 正裕(服部胃腸科)
抄録 背景と目的:便潜血検査によりスクリーニングされた大腸内視鏡検査は、大腸癌発見の最も効率のよい方法である。しかし、その一方で対象となる発見癌は進行大腸癌が多く、大腸内視鏡の本来の目的である早期癌または、その前駆状態での発見においての役割は、コンセンサスを得ていない。われわれは、一般人口における大腸内視鏡の役割を早期大腸癌の発見率から評価した。方法:対象は、1997年から2001年に当院で大腸内視鏡検査を受けた人のうち、平均的リスクと推定される40歳から79歳。この検査で発見された大腸癌の中の早期大腸癌から年齢別早期大腸癌の頻度を推定し、一般人口における大腸癌の生涯罹患率を推定した。これを米国の主に進行大腸癌からなる発見頻度、生涯罹患率と比較した。結果:対象者は1万4817人で、189人が大腸癌と診断され、そのうちの83例が早期大腸癌であった。早期大腸癌から推定された大腸癌推定生涯罹患率は、男性で5.27%、女性で3.21%であった。米国は、男性6.31%、女性は5.94%であった。当シュミレーションにおける早期大腸癌の年齢別発生頻度は、60歳代までは米国の大腸癌の発生頻度に比べ増加しているものの、60歳代以降低下した。結論:早期大腸癌の生涯罹患率は、米国の大腸癌のそれと同等であることから、大腸内視鏡の適切な介入は、大腸癌の発見を10年程度早くしかも早期がんの段階で多くの大腸癌を発見できることを示している。
索引用語 大腸内視鏡, 大腸癌抑制