セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-03:

ESDにより確定診断に至ったBarrett食道腺癌の一例

演者 沖田 英樹(医療法人財団 福岡和白病院消化器科)
共同演者 東 喬太(医療法人財団 福岡和白病院消化器科), 今田 泰介(医療法人財団 福岡和白病院消化器科), 松隈 秀峻(医療法人財団 福岡和白病院消化器科), 古賀 淳(福岡和白病院外科), 濱田 義浩(福岡大学医学部病理学), 竹村 聡(竹村医院)
抄録 [はじめに]我国において、Helicobacter Pyloriの感染頻度の低下に伴い、逆流性食道炎・Barrett食道の増加が認めている。しかし、未だにBarrett食道に合併した食道腺癌の本邦報告例は少ない。今回我々は内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)を施行することによって、確定診断に至ったBarrett食道腺癌(SSBE由来)の一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
[症例]症例は54才男性。健診の上部消化管内視鏡検査にて、食道・胃接合部直上の逆流性食道炎(LA分類B)に近接して0-I型病変を認めた。炎症性ポリープの可能性も考えられたため、PPIを4週間投与したが消退・縮小を認めず、生検を施行したところ、group IV(腺癌疑い)であった。超音波内視鏡検査にて深達度mと診断したため、ESD目的のため当科に入院となった。切開・剥離はFlexナイフ、Hookナイフを使用し、12×10mmの一括切除を行った。同部位の病理組織学的診断は、Moderately differentiated adenocarcinoma, m, ly0, v0, LM(-), VM(-)であった。免疫組織化学染色により、特殊円柱上皮(不完全型腸上皮化生)が認められ、組織学的には、Barrett上皮(SSBE)を背景に発生した食道腺癌と診断した。
[考察]本症例は逆流性食道炎に合併した腺癌で、噴門部癌との鑑別を要したが、免疫組織化学染色よりBarrett食道腺癌と診断できた。欧米で提唱されているmetaplasia→dysplasia→cancer sequenceの存在を支持する症例と考えられた。
索引用語 Barrett食道腺癌, ESD