セッション情報 |
ワークショップ1
|
タイトル |
W1-09:潰瘍性大腸炎に合併した直腸癌・大腸癌の3例
|
演者 |
稲津 東彦(宮崎大学 医学部 内科学講座 循環体液制御学分野) |
共同演者 |
中島 孝治(宮崎大学 医学部 内科学講座 循環体液制御学分野), 松本 英丈(宮崎大学 医学部 内科学講座 循環体液制御学分野), 早稲田 文子(宮崎大学 医学部 内科学講座 循環体液制御学分野), 押川 勝太郎(宮崎大学 医学部 内科学講座 循環体液制御学分野), 大塚 正晃(宮崎大学 医学部 内科学講座 循環体液制御学分野), 北村 和雄(宮崎大学 医学部 内科学講座 循環体液制御学分野) |
抄録 |
【背景と目的】慢性に経過する潰瘍性大腸炎には大腸癌が高率に合併し,大腸炎関連大腸癌(colitic caner)と呼ばれている.本邦においても長期経過症例の増加と伴に大腸癌合併が問題とされている.当科と関連施設で経験した直腸癌・大腸癌を合併した潰瘍性大腸炎3症例を報告する.【症例】症例1は,70歳男性で発症から33年経過した全大腸炎型,再燃緩解型で5回の再燃があった.1~2年毎の内視鏡検査で観察され2001年1月の検査で,直腸に発赤した約1cmの結節状隆起を認め生検で adenocarcinomaと診断.全大腸切除を施行した.高分化腺癌で深達度はmであった.症例2は,78歳男性で発症から23年経過した左側大腸炎型,初回発作のみで再燃はない.3~4年毎の内視鏡検査で観察され2003年3月の検査で,直腸に軽度発赤した約4cmの分葉や結節を伴なわない無茎性隆起を認め生検で adenocarcinomaと診断.全大腸切除を施行した.高分化腺癌で深達度はmpであった.症例3は,32歳男性で発症から1年の全大腸炎型で,受診歴のないまま2000年8月に初回の内視鏡検査を受け,S状結腸に軽度発赤した約2cmの結節を伴なわない低い無茎性隆起を認め生検で adenocarcinomaと診断.全大腸切除を施行した.粘液腺癌で深達度はssであった.【結果】症例は,いずれも男性で2例は直腸,1例はS状結腸に病変を認めた.病歴は,2例が長期経過例であるが,1例は発症から1年で進行癌を合併していた.組織型は2例が高分化腺癌で,1例が粘液腺癌であり,早期癌は1例,進行癌が2例であった.【考察】潰瘍性大腸炎では長期例・広範囲例を中心に炎症性発癌の危険が増すとされる.1例は1年毎の検査で早期の癌合併で診断されたが,2例は進行癌で診断された.本邦報告では直腸病変が多く,我々の経験症例も直腸とS状結腸に認めた.1例は,発症から1年で癌を合併した若年症例であり,組織型も特殊型であった.長期例とともに短期の経過例でも多彩な組織型の発癌に注意しサーベイランスの必要があると考える. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 大腸炎関連大腸癌 |