セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告3

タイトル 消P-745:

肝硬変症に合併し診断治療に難渋した再発性下部消化管出血の2例

演者 松田 健二(筑波大附属病院・消化器内科)
共同演者 福田 邦明(筑波大附属病院・消化器内科), 圷 大輔(筑波大附属病院・消化器内科), 菅谷 明徳(筑波大附属病院・消化器内科), 村下 徹也(筑波大附属病院・消化器内科), 山田 武史(筑波大附属病院・消化器内科), 石毛 和紀(筑波大附属病院・消化器内科), 安部井 誠人(筑波大附属病院・消化器内科), 溝上 裕士(筑波大附属病院・消化器内科), 兵頭 一之介(筑波大附属病院・消化器内科)
抄録 【緒言】肝硬変症は食道胃静脈瘤などをしばしば合併し,上部消化管出血を来し易い。一方,近年小腸内視鏡検査により門脈圧亢進に伴う下部消化管出血の報告も増えている。【目的】肝硬変で,貧血の診断に苦慮した下部消化管出血患者2例を経験したので報告する。【症例1】68歳女性。2004年C型肝硬変とS8肝細胞癌を指摘され,以降再発と治療を繰り返した。2007年より時折貧血が出現し鉄剤投与で改善した。患者は下血を自覚なく,内視鏡検査では出血源同定出来ず。2008年に原因に食道静脈瘤を疑いEVLを施行した後も貧血は進行した。2010年5月にHb6g/dlの貧血認め入院。上下部内視鏡で出血源なし。カプセル内視鏡で回盲部に隆起性病変とCTでAVMが疑われ,小腸内視鏡で回盲部に5mm大の拍動性病変から流出性出血を認めた。IVRで止血困難であり,回盲部切除を施行。【症例2】69歳男性。2010年9月C型肝硬変と肝細胞癌治療目的で入院。抗凝固薬を内服中で,入院時貧血と黒色便があり上下部及びカプセル内視鏡で精査するも出血源の同定困難であった。輸血で貧血改善し,肝S7亜区域切除術を施行後退院したが,同年12月に血便とHb7.0g/dlの貧血が出現し再入院。CTや小腸内視鏡含めた消化管精査行うも出血源分からず,抗凝固剤を減量試みるも,2011年2月再び血便出現した。出血シンチで上行結腸の出血を疑われ,血管造影で回結腸動脈領域にAVM様病変が散在を認めた。小腸内視鏡で確認したところ,上行結腸にoozingを伴う出血性病変を認め,クリップで止血した。以後貧血の進行なし。【考察】小腸内視鏡の発達に伴い小腸病変の原因同定も増加したが、診断難渋例は未だ多い。本例は肝硬変の進行過程に出現したと考えられる下部消化管出血であるが,いずれも静脈瘤などを合併するも出血源の所見に乏しく,頻回の精査で診断に至った。本症例について,集学的検査の重要性,門脈圧亢進との関連について文献的考察を用いて報告する。
索引用語 下部消化管出血, 門脈圧亢進症