セッション情報 一般演題

タイトル 41:

大腸憩室出血症例の検討

演者 野明 俊裕(大腸肛門病センター くるめ病院)
共同演者 荒木 靖三(大腸肛門病センター くるめ病院), 永江 隆明(大腸肛門病センター くるめ病院), 藤 勇二(大腸肛門病センター くるめ病院), 中川 元典(大腸肛門病センター くるめ病院), 小河 秀二郎(大腸肛門病センター くるめ病院), 岩谷 泰江(大腸肛門病センター くるめ病院), 高野 正博(大腸肛門病センター くるめ病院)
抄録 【目的】大腸憩室出血は時に出血性ショックを来すこともある下部消化管の原因のひとつである。これに対する治療法として内視鏡下のクリップによる止血術が一般的であるが、自然止血が見られることや、出血部位が不明である場合の対策、止血後の再出血など問題点も存在する。そこで、憩室出血症例を検討し、内視鏡治療における問題点を明らかにする。【対象】2001年1月から2006年12月までの2年間に下血のため内視鏡を行った1644回のうち大腸憩室出血と診断した症例は19例、21回あった。このうち明らかに大腸憩室から出血していた14例と大腸憩室を認めほかに出血源が認められなかった7例を対象とした。女性は3例、男性16例。【方法】各症例の既往歴、出血歴、抗凝固薬服用の有無、止血方法、止血後の再出血の有無、外科的治療の有無を検討した。【結果】既往歴は高血圧8例、糖尿病3例、脳梗塞3例で抗凝固薬内服は5例で認められた。過去の出血の既往を持つ症例が9例であった。明らかな出血部位が同定されず経過観察のみで再出血がなかった症例が4例、出血はあるものの出血部位が同定されず手術となった症例が1例あった。止血方法はHSE局注、APCによる凝固止血、crippingが行われており、その併用が多く認められた。止血後の同一入院中の再出血は12例中5例で認められ、3例が後に待機手術となった。また、過去の繰り返す出血のため2例が手術となり、全19例のうち6例が手術を行われていた。経過中血圧が80以下となった症例が3例、輸血が必要となった症例が2例あった。【考察】今回の検討では再出血率、手術率も高かった。憩室出血に対する治療の第一選択は内視鏡治療であることは間違いないが、憩室を大きくcrippingする方法であること、止血した憩室が本当の責任憩室ない場合があることなどが再出血率が高い原因と思われた。憩室出血においては内視鏡治療に固執せずほかの治療を念頭においたマネージメントが重要と考えた。
索引用語 大腸憩室, 消化管出血