セッション情報 シンポジウム2

タイトル S2-06:

バレット食道及びバレット食道腺癌の拡大内視鏡観察

演者 磯本 一(長崎大学第二内科)
共同演者 宿輪 三郎(長崎大学第二内科), 吉田 亮(長崎大学第二内科), 大仁田 賢(長崎大学第二内科), 水田 陽平(長崎大学第二内科), 井上 健一郎(春回会井上病院), 河野 茂(長崎大学第二内科)
抄録 【目的】当科では、バレット腺癌及び発癌母地となる特殊腸上皮化生(SIM)の判別を目指して、拡大内視鏡検査を行っている。本研究では、拡大内視鏡観察によるピットパターン分類の、SIM或いは腫瘍性病変に対するに対する診断意義を明らかにする。【方法】2006年11月ー2007年3月に、拡大内視鏡観察をし得たバレット食道49例を対象とした。通常観察、クリスタルバイオレット・酢酸散布拡大観察によるピット分類後、狙撃生検を行って病理組織学的検討に供した。H.pylori感染はギムザ染色と迅速ウレアーゼ試験にて診断した。【結果】平均60歳、男性が26例(53%)、H.pylori感染、食道裂孔ヘルニアは各々、28例(57%)と34例(70%)にみられ、全例がSSBEであった。SIMは19例(37%)に認められ、CD10陽性であった。Endoらのピット分類(tubular or villous pattern、Gastrointest Endosc 2002; 55: 641)によるSIM同定の精度は、感度、特異度、正診率が各々83、82、83%であった。早期バレット腺癌症例では、腫瘍部のピットはirregular patternで、腺管の大小不同や無構造な部分も一部に認め、周囲の非腫瘍部粘膜との境界も判別可能であった。【結論】拡大内視鏡観察によるピット分類はバレット食道のSIMや腫瘍病変の診断に有用であり、バレット腺癌の早期発見、さらに範囲診断にも寄与する可能性が示唆された。
索引用語 バレット食道, 拡大内視鏡