セッション情報 一般演題

タイトル 189:

急性出血性胆嚢炎の1例

演者 小森 陽子(有田胃腸病院 外科)
共同演者 白下 英史(有田胃腸病院 外科), 板東 登志雄(有田胃腸病院 外科), 阿部 寿徳(有田胃腸病院 内科), 佐藤 俊三(有田胃腸病院 内科), 有田 毅(有田胃腸病院 外科)
抄録 胆管内凝血塊により黄疸を呈した出血性胆嚢炎の1例を経験したので報告する。
症例は50歳代、男性。平成16年7月中旬、上腹部痛が出現し当院を受診した。血液検査ではWBC 10,700/mm3、T-Bil 1.9g/dl、GOT 666IU/l、GPT 258IU/l、γ-GTP 771IU/lであった。CT検査にて胆嚢内にhigh density構造物の充満を認め、総胆管下部にも同様の所見を認めた。以上の所見より胆管内血腫を伴う急性出血性胆嚢炎を疑い、ERCPならびにPTGBDを施行した。胆嚢、総胆管内には多量の凝血塊を認め、凝血塊の排出により閉塞性黄疸、胆嚢胆管炎が軽快した。18日後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行したところ、胆嚢には明らかな炎症所見なく、3mm径の結石を2個認めた。病理組織検査では腫瘍性病変や潰瘍、露出血管などは認められなかったものの、胆嚢壁内に多数のヘモジデリン貪食組織球が認められた。
胆嚢出血は上部消化管出血のうち0.4~1%とされ、胆嚢結石、腫瘍、外傷、虚血壊死などが原因として挙げられる。診断は胆道疝痛、閉塞性黄疸、吐下血などの症状に加え、超音波検査、CTにて出血を反映する胆嚢内のスラッジ様異常エコー、high density構造物の充満などが特徴的な所見とされている。出血性胆嚢炎は比較的頻度の少ない疾患であるものの、消化管出血や閉塞性黄疸の鑑別疾患として認識が必要であると考えられた。
索引用語 出血性胆嚢炎, 閉塞性黄疸