抄録 |
症例は62歳女性。平成18年10月より心窩部痛が出現したため近医をした。腹部超音波検査では肝左葉に10cm大の腫瘤を認めたため、精査加療目的にて当科に紹介入院となった。腫瘍マーカー(CEA 7.7ng/ml, CA19-9 6.8U/ml, PIVKA-2 19MAU/ml, AFP 3.3ng/ml)はCEAが軽度上昇しているのみであった。CTやMRIでの画像評価では、典型的なHCC、CCCやHemangiomaとは異なり、HemangioblastomaやAngiosarcomaなどの可能性が示唆された。入院後に施行した消化管内視鏡検及び膀胱鏡でも異常所見はなく、他の原発巣を指摘することはできなかった。 平成19年1月、肝左葉切除術を施行した。腫瘍は弾性硬で境界は比較的明瞭であり、他臓器への浸潤は認めなかった。術後の病理検査にて、多くの細胞分裂像を認め(4/10HPF)、免疫染色にてSMA、Myoglobin、HHF-35、Desminが陽性、MIB-1陽性率が4.42%であった。また、S-100 protein、CD34、ER及びPgRが陰性であり、最終的な病理診断は平滑筋肉腫との診断した。 術後、婦人科的精査及びPET-CTにて全身検索を再施行したが、原発巣を指摘できず、肝臓原発の平滑筋肉腫と診断をした。 肝臓原発の本疾患は報告例が少なく、稀な症例であったため文献的考察を加えて報告する。 |