セッション情報 |
シンポジウム3
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タイトル |
研-19:血球貪食症候群を合併した潰瘍性大腸炎の1例
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演者 |
梅野 成大(福岡大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 |
前田 和弘(福岡大学 医学部 消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学 医学部 消化器内科), 志賀 洋(福岡大学 医学部 消化器内科), 猪俣 絵里子(福岡大学 医学部 消化器内科), 森田 勇(福岡大学 医学部 消化器内科), 冨岡 禎隆(福岡大学 医学部 消化器内科), 林 由浩(福岡大学 医学部 消化器内科), 西村 宏達(福岡大学 医学部 消化器内科), 酒井 真志(福岡大学 医学部 消化器内科), 江口 浩一(福岡大学 医学部 消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学 医学部 消化器内科), 青柳 邦彦(福岡大学 医学部 消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 消化器内科) |
抄録 |
症例は36才の女性。1993年に潰瘍性大腸炎(UC)と診断され、以後、内服治療にて安定して経過していた。2007年1月初旬に発熱、下血、ふらつき感が出現したため、精査加療目的に当院へ入院となった。入院時には体温36.7℃と発熱は改善していた。血圧は118/72 mmHg、脈拍は108/minで整。血液検査ではWBC 3700/μl, Hb 6.6 g/dl, Plt 4.5万/μl, T.P 6.6 g/dl, Alb 3.4 g/dl, T.bil 0.8 mg/dl, AST 16 IU/l, ALT 11 IU/l, LDH 1415 IU/l, ALP 148 IU/l, γ-GTP 162 IU/l, CRP 1.4 mg/dl, フェリチン 513 ng/mlと著明な貧血、血小板低下、高LDH血症、高フェリチン血症を認めた。下部消化管内視鏡検査では、直腸に潰瘍、びらん、出血など活動性の所見を認めた。貧血の原因は、血清鉄、葉酸が低地であったため、慢性消化管出血による鉄欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血の関与が考えられたが、血小板減少の原因精査のために行った骨髄穿刺にてマクロファージによる血球貪食像を認めた。以上より、UCの経過中に発症した血球貪食症候群と診断したが、病態の進行はなく速やかに自然軽快した。血球貪食症候群はウイルス感染症を契機に発症することが多いが、UCとの合併例の報告は少ない。しかし、UCの増悪因子としてEBウイルスやサイトメガロウイルス感染症が知られており、これらが血球貪食症候群を引き起こす可能性は十分にある。本症例は入院前に一過性の発熱があり、血清学的には証明されなかったものの何らかのウイルス感染を起こしていたことが疑われる。このウイルス感染症のため、一方ではUCの増悪、また同時に血球貪食症候群を引き起こしたものと考えた。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 血球貪食症候群 |