セッション情報 一般演題

タイトル 182:

興味ある経過を示したIPMNの3例

演者 伊藤 欣司(肝属郡医師会立病院 外科)
共同演者 風呂井 彰(肝属郡医師会立病院 外科), 白濱 浩司(肝属郡医師会立病院 外科), 馬場 信一(肝属郡医師会立病院 外科), 宮川 勝也(同院放射線科), 船川 慶太(鹿児島大学第2内科)
抄録 膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下IPMN)は膵管内の上皮性増殖性病変であり、浸潤癌の前癌病変とも言われているが、予後は比較的良好とされている。しかし、膵癌へ進行した場合の予後は明らかではない。今回我々は、興味ある発症経過を示したIPMNの3例経験したので報告する。症例1:54歳男性。急性腹症精査の腹部CTで膵腫瘍を指摘。更なる精査で、膵鈎部の分枝型IPMTと診断。40mm大の嚢胞で、隔壁とその肥厚、隔壁内に8mmの小結節も認めた。またMPDが8mmと拡張し、IPMCの可能性が高いと判断し手術施行。病理では、IPMN, adenoma with moderate atypiaであった。症例2:78歳女性。検診エコーでMPD拡張を指摘され、精査の結果、膵頭部分枝型IPMTと診断。嚢胞内に隔壁成分と隔壁に小結節を認め、MPDも軽度拡張していたが15mm大の嚢胞であったため、外来フォローとなった。4ヵ月後のMRCPにてMPDの拡張が増強。精査で膵頭部の分枝型IPMT以外に、膵鈎部に5mm大の腫瘍とその近傍のMPDの不整狭窄認めた。細胞診は陰性であったが膵癌合併も考慮し手術施行。病理は、IPMC, well diff. tubular adenocarcinomaであった。症例3:78歳女性。検診エコーで膵嚢胞を指摘。画像診断にて膵体部の分枝型IPMTと診断。15mm大の嚢胞で嚢胞内に隔壁成分は認めたが、小結節はなく、MPDは4mmと軽度拡張していた。嚢胞径が15mmであり外来フォローの方針となった。25ヶ月後のMRCPでMPDの拡張増強を認め、更なる精査を行ったところ、膵頭体移行部のMPDの不整狭窄と狭窄部近くに10mm大の腫瘍を指摘。細胞診は陰性であったが、膵癌合併が強く疑われたため手術施行。病理は、IPMC, intraductal papillary-mucinous carcinoma in situであった。まとめ:症例1は、急性腹症の精査中に膵腫瘍を指摘。IPMTの随伴膵炎症状で発見。症例2と3は、検診で異常を指摘され、精査でIPMTと診断。外来フォロー中に、画像上IPMCへの進展が認められた2例であった。いずれも、術後再発の所見はなく、経過観察中である。
索引用語 IPMN, 膵癌