セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 54:慢性膵炎の急性発作後に発症した十二指腸狭窄の1例 |
演者 | 工藤 まいさ(久留米大学医療センター消化器内科) |
共同演者 | 原田 和徳(久留米大学医療センター消化器内科), 倉岡 圭(久留米大学医療センター消化器内科), 村島 史朗(久留米大学医療センター消化器内科), 由谷 茂(久留米大学医療センター消化器内科), 中島 裕(久留米大学医療センター消化器内科), 田中 正俊(久留米大学医療センター消化器内科), 鶴田 修(久留米大学医学部消化器病センター内視鏡診療部門), 佐田 通夫(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門) |
抄録 | 慢性膵炎の膵外合併症としての消化管狭窄は十二指腸や結腸で報告がみられる。今回、慢性膵炎の急性発作後に生じた高度の十二指腸狭窄により経口摂取が困難となり外科的手術を余儀なくされた症例を経験したので報告する。症例は75歳、男性。大酒家。2006年8月に上腹部痛が出現し、血・尿中アミラーゼ高値を示し、腹部CTで膵腫大、膵頭部に仮性嚢胞と考えられる嚢胞性病変を認めた。急性膵炎の診断で入院、絶食、蛋白分解酵素阻害剤による保存的加療で臨床症状は改善し、膵頭部にみられた嚢胞性病変は消退した。退院後は外来で経過観察していたが2007年1月頃より、食後の膨満感を自覚するようになった。上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部から下行脚にかけて、発赤と著明な浮腫を伴う全周性の狭窄を認めた。狭窄は高度で内視鏡スコープの挿入は困難であった。生検による病理所見は炎症のみであったが保存的治療で改善を認めず、経口摂取は困難となった。腹部CTおよびMRI検査で十二指腸壁の著明な肥厚、総胆管の軽度拡張、膵管内のairを認め、精査加療目的で再入院となった。内視鏡下に十二指腸造影検査を行ったところ、狭窄部より総胆管の描出がみられ、さらに膵臓側への境界不明瞭な造影剤漏出を認めた。急性発作時にみられた膵頭部嚢胞性病変との交通が示唆され、臨床経過から十二指腸に隣接する膵仮性嚢胞が十二指腸下行脚に穿破したものと考えられた。先行する急性発作による浸出液が流入したために生じた不可逆的な十二指腸狭窄と判断し、外科的手術を施行した。術後経過を含めた臨床経過、各種画像診断、手術後の病理学的検索の結果および若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 十二指腸狭窄, 慢性膵炎 |