セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-07:

径10 cmを越える巨大肝細胞癌に対する外科治療成績の検討

演者 山下 洋市(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科))
共同演者 武冨 紹信(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 森田 和豊(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 福原 崇介(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 植田  茂(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 實藤 健作(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 萱島 寛人(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 井口 友宏(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 杉町 圭史(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 吉住 朋晴(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 副島 雄二(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)), 前原 喜彦(九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科))
抄録 【はじめに】径10 cmを越える巨大肝細胞癌の根治的治療は外科的切除に限られるが、巨大肝細胞癌の切除は、手術関連死亡や合併症が多いことも事実である。また、腫瘍径が大きくなるとその切除後予後も一般的に悪化する。【対象と方法】1986年から2006年までの最大径が10 cmを越えるHCC切除53例の臨床病理学的特徴を検討した。在院死率・合併症率・切除後予後を検討して肝切除の妥当性を検討した。再発様式や破裂例6例の経過を検討し、予後不良因子を統計学的に解析した。【結果】53例の内訳は、B型/C型肝炎:18例/22例、Vp陽性症例:24例(45%)Stage II/III/IV:14例/10例/29例、平均出血量:2324 g、輸血あり:31例(58%)であった。在院死は2例(3,8%)に、合併症は13例(24,5%)に認めた。切除後の1・3・5年生存率は、それぞれ86%・45%・31%であった。再発様式は、残肝20例(38%)・肺8例(15%)、骨2例(4%)、脳1例(2%)、腹膜播種1例(2%)であった。破裂例6例に腹膜播種再発は認めず、破裂そのものは独立予後不良因子とはならなかった。Cox比例ハザードモデルで独立予後不良因子を検討した結果、VPあり・Stage IV・輸血ありの3項目であった。【まとめ】径10cmを越える巨大肝細胞癌の外科切除は安全に施行可能であり、その予後もある程度満足できるものである。経過観察には肝内再発のみでなく、肺・骨などのフォローも必須であり、破裂例も外科切除の適応になり得る。更なる予後向上のためには、出血量を軽減する手術手技の工夫や、VP症例・Stage IV症例に対する術後補助化学療法の工夫が必要と考える。
索引用語 巨大肝細胞癌, 肝切除