セッション情報 一般演題

タイトル 147:

当院における早期胃癌に対するESDの治療成績

演者 頼岡 誠(医療法人佐田厚生会 佐田病院 胃腸科)
共同演者 深水 理恵子(医療法人佐田厚生会 佐田病院 胃腸科), 青山 祐二郎(医療法人佐田厚生会 佐田病院 胃腸科), 八尾 恒良(医療法人佐田厚生会 佐田病院 胃腸科), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理部), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院 消化器科), 尾石 樹泰(尾石胃腸科内科医院), 菊池 陽介(きくち胃腸科内科クリニック)
抄録 【目的】近年、安全確実な手技になりつつあるESDが全国に普及している。当院におけるESD導入後の治療成績について報告する。【方法】2003年11月からESDを施行した早期胃癌70例を対象とした。胃癌治療ガイドライン病変(GL内)34例、適応拡大病変(GL外)36例であった。GL内・外にわけ、1)平均切除時間、2)平均腫瘍径、3)平均切除標本径、4)一括切除率、5)一括完全切除率、6)偶発症の頻度について検討した。【成績】1)平均切除時間:GL内75.2分、GL外158.3分。2)平均腫瘍径:GL内12.6mm、GL外26.8mm。3)平均切除標本径:GL内26.4mm、GL外42.3mm。4)一括切除率:GL内97%(33/34)、GL外97%(35/36)。5)一括完全切除率:GL内91%(31/34)、GL外86%(31/36)であった。局所不完全切除例は8例で、平均腫瘍径は32.3mm(8-80mm)であった。部位別にみると、噴門部小彎1例、体部小彎2例、胃角小彎1例、前庭部後壁1例、残胃体部2例、残胃吻合部1例でありU-M領域小彎および残胃に多かった。局所不完全切除要因としては、分割切除が2例、側方断端陽性(主病変の進展度範囲診断の誤り、同時多発病変の見落とし、スネアリングによるもの)が5例、深部断端陽性が1例であり、技術的要因が3例、術前診断の誤りが5例であった。局所不完全切除例に対する追加治療としては、外科手術3例、再ESD2例であり3例は経過観察をしている。6)偶発症:GL内は穿孔を1例(2.9%)認め、GL外は後出血を2例(5.6%)、穿孔を2例(5.6%)に認めたがいずれも保存的に軽快した。【考察】ESDによって、GL外病変はGL内病変とほぼ同等の一括完全切除率が得られた。また、危惧される偶発症においてもほぼ同等でありGL外病変に対するESDは妥当と考えられたが、局所不完全切除例も存在するため、より厳密な術前診断が重要であると考えられた。
索引用語 早期胃癌, ESD