セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 37:当院におけるアメーバ性大腸炎6例の検討 |
演者 | 深水 理恵子(医療法人佐田厚生会 佐田病院 胃腸科) |
共同演者 | 頼岡 誠(医療法人佐田厚生会 佐田病院 胃腸科), 青山 祐二郎(医療法人佐田厚生会 佐田病院 胃腸科), 八尾 恒良(医療法人佐田厚生会 佐田病院 胃腸科), 尾石 樹泰(尾石内科胃腸科医院), 畠山 定宗(畠山内科胃腸科クリニック), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理部) |
抄録 | 【目的】アメーバ性大腸炎は、Entamoeba histolytica嚢子に汚染された食物、飲料水などの経口摂取で感染すると言われており、従来海外渡航者への感染が多く見られていた。しかし最近では、男性同性愛者間の感染や、感染経路不明な国内感染が増加しており、当院でも、過去2年間に6症例経験したので、検討し報告する。【方法】2005年2月~2007年4月に、アメーバ性大腸炎と診断した症例を対象に、臨床的背景、推定感染経路、内視鏡像、治療法などに関して検討した。【結果】症例は6例で、全例が男性であった。年齢は26~57歳で平均年齢は42.8歳であった。症状は、血便・粘血便が5例にみられ、便潜血陽性1例と何らかの出血がすべてにみられた。また、下痢を4例、腹痛を2例に伴っていた。感染経路は問診から、1例はアジアなどの渡航歴があったが、他の症例に関しては不明であった。基礎疾患に関しては、HIVなどの感染症はみられなかったが、1例にサイトメガロウイルス感染の合併を認めた。肝膿瘍・穿孔などの大きな合併症はみられなかった。全例に内視鏡検査を施行しており、病変範囲は、直腸のみが1例、直腸・盲腸が3例、上行結腸~下行結腸が1例、全大腸が1例で、特に直腸と盲腸の病変が目立っていた。内視鏡所見としては、汚い白苔を有する不整形・または類円形のびらん・潰瘍が5例にみられ、紅暈を伴うアフタが2例にみられた。診断方法としては、生検ですべての症例にアメーバ虫体が確認され、アメーバ抗体価は6例中4例に検査されており、2例が陽性、1例は検査中である。治療はすべてにメトロニダゾールを投与し、CMV合併症例以外は、症状消失し、うち2例は内視鏡検査での病変の消失を確認している。【結論】アメーバ性腸炎は輸入感染症の一つであるが、最近では男性同性愛者の性感染症としての増加が増えてきている。しかしながら、感染経路の不明なものも多く、比較的特徴的な内視鏡所見・血便などの症状をみたときは、アメーバ性大腸炎も念頭におくべきだと考えられた。 |
索引用語 | アメーバ性大腸炎, 内視鏡像 |