セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
178:Mallory-Weiss-Syndoromeに対する止血クリップが出血の原因となり内視鏡的にクリップ除去した一例
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演者 |
青山 祐二郎(佐田厚生会 佐田病院 胃腸科) |
共同演者 |
深水 理恵子(佐田厚生会 佐田病院 胃腸科), 頼岡 誠(佐田厚生会 佐田病院 胃腸科), 八尾 恒良(佐田厚生会 佐田病院 胃腸科) |
抄録 |
症例は43歳の男性。2003年他院にてMallory-Weiss-Syndoromeの出血に対しクリッピングによる止血術を施行されていた。その後特に問題なかったが,2006年7月6日より嘔気と黒色便が出現し、9日当院を受診。Hb 7.9g/dlと貧血を認め、消化管出血を疑い緊急入院とした。上部消化管内視鏡検査では、EGJに他院で施行されたクリップ一個の残存を認めるのみで明らかな出血源はなく、下部消化管内視鏡検査および経口法による小腸造影でも出血源は同定不能だった。経過は良好であり黒色便の消失および貧血の改善も認めたため退院とした。しかし9月5日より黒色便が再出現し、吐血を認めたため、7日再入院とした。上部内視鏡検査を行ったところEGJに残存しているクリップの対側の粘膜に露出血管を認め出血していた。同部を詳細に観察すると、蠕動でクリップ先端が対側粘膜に接触を繰り返し、このため粘膜が損傷し血管を露出させ出血したものと考えた。止血はAPC焼灼による止血術を行い、術後は症状の消失、貧血の改善を認めた。出血源となったクリップの除去を行うため、2チャンネル内視鏡を使用し、まず把持鉗子を用いたクリップの分解・除去を試みたが除去不可能だった。そのため、2チャンネルの1方の鉗子をスネアに変更しクリップ基部を鉗子で把持し、クリップ胴部をスネアで把持しクリップ外套を取り外し、分解、除去した。術後経過は良好で、現在まで再出血を認めていない。内視鏡的止血術のうち、クリップ法は止血効果に優れ、確認できれば動脈性出血や静脈性出血にかかわらず容易に止血が可能であり、薬剤局注止血法や組織凝固法に比べて、組織傷害性が少なく、確実な止血効果が得られる。その一方で,クリップ脱落による再出血や、壁の薄い十二指腸ではクリップを潰瘍底に押し付けると穿孔の危険があるなどの問題点がある。また,自験例のように、クリップ自体が出血原となることがあり、その除去に苦渋することがある。今回我々は既知の手技では不可能であったクリップ除去に対して、新たな手技で除去可能であった1例を経験したため報告する。 |
索引用語 |
内視鏡治療, 内視鏡的止血術 |