セッション情報 シンポジウム2

タイトル S2-07:

食道表在癌の深達度診断における拡大内視鏡検査の有用性

演者 高木 靖寛(福岡大学 筑紫病院 消化器科)
共同演者 平井 郁仁(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 長浜 孝(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 八尾 建史(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 岩下 明徳(福岡大学 筑紫病院 病理部), 田邉 寛(福岡大学 筑紫病院 病理部), 原岡 誠司(福岡大学 筑紫病院 病理部), 二見 喜太郎(福岡大学 筑紫病院 外科), 富安 孝成(福岡大学 筑紫病院 外科)
抄録 【目的】食道表在癌の深達度診断における拡大観察の有用性について検討した。【対象】2003年から2007年3月までに当院で拡大内視鏡検査を行った食道表在癌60例65病変[平均腫瘍径26.9(5~75)mm、肉眼型:0-IIb,IIc 49病変、0-IIa(+IIc) 14病変、0-I(+IIc) 2病変、深達度:m1,2癌 40病変、m3,sm1癌 13病変、sm2以深 12病変]。【方法と検討項目】通常光:27病変、NBI:38病変。微細血管パターンは有馬らの分類に従い、type 3(乳頭内血管構造の破壊、口径不同を伴う螺旋状血管―m1、m2癌でみられる )とtype 4(不整な多重状、樹枝状、網状血管―m3以深浸潤でみられる)に分け、1.術前深達度診断能、2.誤診要因について検討した。【成績】1.術前深達度正診率:type 3のm1,2癌における感度は97.5%(39/40)であったが、特異度は44%(11/25)と低率で、m3以深癌にも認められた。type 4はm3浸潤幅6mm以上のm3,sm癌で拾い上げ可能であり、m3以深癌における感度は91.7%(11/12)、特異度は97.5%で診断に極めて有用であった。type 4の73%(8/11)はsm癌であった。2.誤診の要因:14例が浅読み、1例が深読みであった。m3以深癌14例の浅読み要因は、微小な浸潤(m3幅4mm以下)で同定が困難;6例、厚みのある0-IIa(3d)のため深部が不透過:3例、脈管侵襲のみによるsm浸潤;3例、非癌上皮下にsm浸潤;1例であり、浸潤部の観察自体が困難で、粘膜所見の観察のみとなった(見直しでは2例に局所的なtype 4が見い出された)。m1癌でtype 4と誤診した隆起は肉芽組織であった。【結語】1.type 4はm3高度浸潤癌、sm癌の所見であり手術、もしくは化学・放射線療法を含めた温存治療が必要である。2.type 3は粘膜内癌の診断に有用で多くは内視鏡的切除で根治可能であるが、一部に局所浸潤や脈管侵襲もみられ、一括完全切除を行い詳細な病理学的検討のうえ追加治療の考慮も必要である。
索引用語 食道表在癌, 拡大内視鏡