セッション情報 |
パネルディスカッション6(消化吸収学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
消化吸収の側面からみた炎症性腸疾患の病態と栄養療法
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タイトル |
消PD6-8:難治性クローン病患者におけるインフリキシマブの有効性と栄養状態(BMI)改善効果:前向き臨床試験
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演者 |
白木 学(四日市社会保険病院・IBDセンター) |
共同演者 |
山本 隆行(四日市社会保険病院・IBDセンター), 松本 好市(四日市社会保険病院・IBDセンター) |
抄録 |
【目的】前向き試験により、難治性クローン病患者におけるインフリキシマブ(IFX)の有効性と栄養状態改善効果の相関を検証する。【方法】対象は従来の薬剤治療に不応でIFX療法を予定している活動期クローン病患者50人。平均年齢は30歳、男性32人、病変部位は小腸10人、大腸16人、小腸+大腸24人。IFX療法開始時の平均CDAIは310であった。IFX療法は、レミケード(5 mg/kg)を0, 2, 6週時に導入療法として投与し、その後は8週毎に維持療法として投与した。効果減弱時は、レミケードの増量または投与間隔の短縮を行った。観察期間はIFX治療開始後60週間とした。試験期間中は、CDAIとBMIを定期的に追跡した。CDAIが70以上低下した場合を有効とし、CDAIが150未満になった場合を寛解とした。【成績】治療開始後10週時、39人(78%)においてIFX療法は有効であった。平均BMIは治療開始時は18.9で10週時には19.5と有意に増加した。BMIの増加量とCDAIの減少量との間には有意な正の相関が見られ、BMI平均増加量は治療有効例では無効例と比較して有意に高値を示した。治療開始後30週および60週時には、各々35人(70%)、33人(66%)が寛解状態であった。30週および60週時におけるBMI平均増加量(試験開始時より)は、寛解例では非寛解例と比較して有意に高値を示した。治療開始時に低栄養状態(BMI<18.5)の患者や小腸病変を有する患者においては、それらの因子を有しない患者に比較してBMI平均増加量は有意に高値を示した。年齢、性別、病悩期間、喫煙、手術既往、併存の栄養療法や薬剤療法(ステロイド・免疫調整薬)は、BMI平均増加量と有意な相関を示さなかった。【結論】IFXには難治性クローン病患者の栄養状態を著明に改善することが判明した。臨床的に有効であった患者で栄養状態の改善は顕著であった。また、低栄養状態の患者や小腸病変を有する患者においてIFXの栄養状態改善効果は著明であった。併存治療は栄養状態の改善に有意な影響を与えなかった。 |
索引用語 |
インフリキシマブ, 栄養状態 |