セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告5

タイトル 消P-754:

急激な肝障害をきたし死亡した鼻型NK/T細胞リンパ腫の1剖検例

演者 河野 真(国立国際医療研究センター・消化器科)
共同演者 小島 康志(国立国際医療研究センター・消化器科), 岸田 圭弘(国立国際医療研究センター・消化器科), 近藤 崇(国立国際医療研究センター・消化器科), 向井 俊太郎(国立国際医療研究センター・消化器科), 平野 千明(国立国際医療研究センター・消化器科), 忌部 航(国立国際医療研究センター・消化器科), 渡辺 一弘(国立国際医療研究センター・消化器科), 横田 悦子(国立国際医療研究センター・消化器科), 新倉 量太(国立国際医療研究センター・消化器科), 野崎 雄一(国立国際医療研究センター・消化器科), 柳瀬 幹雄(国立国際医療研究センター・消化器科)
抄録 【症例】36歳男性 【主訴】 黄疸、発熱【現病歴】2010年8月より右眼瞼腫脹を自覚し9月に近医受診した。炎症性疾患が疑われ、プレドニゾロン30-50mg/dayを使用したが、効果は一時的だった。10/19に眼窩腫瘍生検施行し、迅速組織診で悪性リンパ腫が疑われた。10/20に40度の発熱と肝障害を認め、2日間で急激な黄疸の進行も認めたため10/21に当院消化器科に転院となった。【入院後経過】来院時、意識清明、体温37.5度、皮膚黄染を認めた。血液検査でT.Bil 29.1mg/dl、D.Bil 27.8mg/dl、AST 1278U/L、ALT 843U/L、LDH 1725U/L、ALP 683U/L、γGTP 533U/L、CRP 22.9mg/dl、Plt 3.0×104/μl、PT 79.1%であった。肝炎ウイルスマーカーは、HA-IgM(-)、HBsAg(-)、HBcAb(-)、HCVAb(-)、肝障害の原因となる食事やアルコール摂取、薬剤使用の既往も認めなかった。CTでは肝脾腫を認めた。リンパ腫の肝浸潤も考慮し、緊急で骨髄穿刺、皮膚生検を施行した。しかし急速に肝障害が悪化していることから、生検結果を待たずデキサメタゾン40mgを同日開始した。翌日、肝腫大の確定診断のためにエコーガイド下経皮的肝針生検を施行した。しかし同日夜より急激に血圧低下、循環・呼吸状態の悪化、意識状態の悪化を認め、心肺蘇生を試みたが回復することなく死亡した。剖検では、肝臓は2570g、脾臓は250gと大きく、赤色の小結節が非常に多数、密に存在していた。病理組織学的に、右眼窩、肝、脾、肺、腎、甲状腺に腫瘍細胞の浸潤を認めた。免疫組織学的検査にてLCA(+)、CD20(-)、CD3(+)、CD56(+)、グランザイムB(+)、TdT(-)、CD5(-)、CD30(-)、CD4(-)、CD8(-)、EBER(-)、Vimentin(+)で鼻型NK/T細胞リンパ腫と診断した。【結語】右眼窩腫瘍の精査中に、急激な肝障害をきたし死亡し、剖検にて肝臓を含む多臓器に浸潤する鼻型NK/T細胞リンパ腫と診断された稀な1例を経験したので報告する。
索引用語 NK/T細胞リンパ腫, 肝障害