セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告5

タイトル 消P-756:

Primary central nervous system lymphomaとの同時発症が疑われた肝原発悪性リンパ腫の一例

演者 西谷 大輔(青森労災病院・消化器内科)
共同演者 石橋 文佳(青森労災病院・消化器内科), 齋藤 大輔(青森労災病院・消化器内科), 日沢 裕貴(青森労災病院・消化器内科), 河津 俊太郎(青森労災病院・消化器内科), 福田 真作(弘前大大学院・消化器血液内科学)
抄録 【症例】74歳、男性【主訴】左上下肢の脱力感【既往歴】50歳から糖尿病、高血圧症で加療中。【家族歴】特になし【現病歴】平成22年2月左下肢の脱力感と疼痛を自覚。近医受診し腰部脊柱管狭窄症による左下肢痛および麻痺症状と診断された。その後左上肢にも脱力感が出現し、4月当院脳外科へ紹介。受診時軽度左不全片麻痺と左顔面中枢性麻痺を認めた。頭部単純CTにて右内包~視床に腫瘤を認め同日入院。腫瘤は頭部MRI(Gd)にて右内包後脚から中脳にかけてT1で低信号、T2で軽度高信号を呈し、造影効果を伴う腫瘤で悪性リンパ腫に酷似していた。生検は神経症状増悪の懸念から困難で、麻痺の進行もみられPrimary central nervous system lymphoma (PCNSL)の診断のもと放射線療法を開始した。5月の造影CTで肝S6に2cm大の境界明瞭な低吸収域を認め、入院時より増大傾向にあり精査加療の目的で紹介された。【経過】腹部USでは肝S6に2cm大の低輝度腫瘤を認め、単純CTでは低吸収域で、Dynamic CTでは造影効果に乏しく乏血管性の腫瘤であった。単純MRIではT1で低信号、T2で軽度高信号、拡散強調画像では著明な高信号を呈し、ガドキセト酸ナトリウム(Gd-EOB-DTPA)造影MRIでは淡い造影効果を認めた。消化管精査では異常を認めず、sIL-2rは軽度上昇、他の腫瘍マーカーは正常値であった。確定診断のための肝生検は同意が得られず、穿刺吸引細胞診で、異型の強いリンパ球を認めた。同検体からセルブロック標本を作成しHE染色と免疫染色を行ったところ非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)が強く疑われた。R-THP-COP療法を開始し、1コース後のCTで腫瘤の著明な縮小を認め、2コース後のMRIの拡散強調画像でCRと判定された。5コースまで行い、FDG-PET検査でCRと診断され経過観察中である。【結語】PCNSLとの同時発症が疑われた肝原発悪性リンパ腫の一例を経験した。非常に稀な症例と思われ報告する。
索引用語 肝原発悪性リンパ腫, PCNSL