セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告5

タイトル 消P-757:

神経内分泌分化を示した肝内胆管癌の1例

演者 佐藤 力弥(川村病院・外科)
共同演者 川村 統勇(川村病院・外科), 川村 武(川村病院・外科), 佐々木 邦明(川村病院・外科), 矢野 健太郎(川村病院・外科), 野口 忠昭(川村病院・外科), 細野 知宏(川村病院・外科), 村上 慶四郎(川村病院・外科), 池上 雅博(東京慈恵会医大・病理学)
抄録 症例は50歳代男性。腹部超音波検査で肝内に多発する高エコー病変を指摘され当院を紹介された。来院時には無症状で、血液検査も軽度の白血球増加以外に異常は認めず。単純CTでは肝全体にLow density areaが多発しており、dynamic studyで動脈相の強い濃染と、門脈相から静脈相にかけてのwash outを認めた。MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で高信号に描出され、造影パターンはCTと同様であった。肝炎ウイルスが陰性でアルコール摂取歴もないことから、転移性肝腫瘍を疑い内視鏡検査やPETなど全身精査を行うも原発巣と考えられる病変は認めなかった。以上の経過から肝原発の腫瘍と考え、確定診断目的に腹腔鏡下肝生検を施行した。病理組織はadenocarcinoma、免疫染色でchoromogranin A, synaptophysin陽性であり、神経内分泌分化を示す肝内胆管癌と診断された。治療は小細胞肺癌の化学療法に準じCDDP+CPT-11療法を継続中で、1クール目の最中に十二指腸潰瘍穿孔を発症し大網充填術を行ったが、以後は有害事象なく現在まで6クールを終えている。初診時より8カ月が経過したが、全身状態は良好で画像検査でも病変の増大を認めていない。神経内分泌分化を示す胆管細胞癌はこれまでに報告がみられず、本症例も診断の過程で肝原発神経内分泌癌や転移性肝腫瘍との鑑別に難渋し、治療法の選択に苦慮した経緯がある。結果として良好な経過が得られてはいるものの反省すべき点も多く、文献的考察を加え報告したい。
索引用語 神経内分泌分化, 肝内胆管癌