セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告5

タイトル 消P-758:

refeeding syndromeによる肝障害と考えられた2例

演者 臼井 健郎(市立芦屋病院・内科)
共同演者 北田 学利(市立芦屋病院・内科), 竹村 忠晴(市立芦屋病院・内科), 池田 公一郎(市立芦屋病院・内科), 竹田 晃(市立芦屋病院・内科)
抄録 【はじめに】 慢性的飢餓状態の患者に過剰のブドウ糖を投与した際、低リン血症等を介して痙攣、意識障害、心不全、肝障害などが現れることがあり,これら一連の代謝性合併症はrefeeding syndromeと総称されている.   【症例1】 47歳女性.主訴:意識障害,るいそう.  15歳時に神経性食思不振症と診断されて以来精神科通院するも幾度となく中断. 平成21年末より家庭事情を契機に極端な拒食と過食を繰り返し,平成22年1月 意識障害,るいそうに加え高度肝障害も指摘され,内科的精査加療目的に当院紹介入院.一旦は軽快退院するも,平成22年5月,再び高度意識障害にて当院救急入院.低栄養・低リン・低カリウム血症に加え,高度肝障害(AST:1992,ALT:1758)が認められた.低カロリー輸液とリン補充を行ったところ第3病日には意識回復,肝障害も急速に改善した.【症例2】 76歳女性.主訴:食思不振. 不安神経症・鬱病による食思不振症にて近医経過観察されており,数年来低Na・K血症・食思不振にて入退院を繰り返していた.平成22年10月,再び当院紹介入院.第5病日CVポート増設し高カロリー輸液を開始したところ,第8病日より意識障害(譫妄)に加え,肝障害(AST:276,ALT:219)が出現した.低リン血症を確認し,直ちに投与カロリーを減じ,リン補充を行ったところ意識障害・肝障害は速やかに改善した.【考察】 refeeding syndromeの部分症としての肝実質障害が推定される2症例を経験した. 症例1については肝生検が施行され,予想された脂肪化・うっ血・胆汁うっ滞・繊維化等は認めず,肝実質細胞の膨化・壊死と実質優位の炎症細胞浸潤をみる一方,門脈域の炎症細胞浸潤は軽度であった. refeeding syndrome に伴う肝障害のヒト病理組織像報告は検索しえた限りこれまでにないため,文献的考察を含めて報告する.
索引用語 肝生検, refeeding