セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告5

タイトル 消P-759:

肝細胞癌治療経過中に発症したStreptobacillus moniliformis による敗血症の1例

演者 会澤 大介(前橋赤十字病院・消化器内科)
共同演者 椎名 啓介(前橋赤十字病院・消化器内科), 小林 剛(前橋赤十字病院・消化器内科), 小林 修(前橋赤十字病院・消化器内科), 田中 秀典(前橋赤十字病院・消化器内科), 上野 敬史(前橋赤十字病院・消化器内科), 大塚 修(前橋赤十字病院・消化器内科), 加藤 真理(前橋赤十字病院・消化器内科), 佐川 俊彦(前橋赤十字病院・消化器内科), 豊田 満夫(前橋赤十字病院・消化器内科), 新井 弘隆(前橋赤十字病院・消化器内科), 高山 尚(前橋赤十字病院・消化器内科), 阿部 毅(前橋赤十字病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】Streptobacillus moniliformisは鼠咬症の原因菌で齧歯類の口腔内に常在する。鼠咬症は、平成17年米国疾病対策センターが鼠咬症の死亡患者発生を踏まえ、米国国内向けに注意喚起を行ったことから、日本国内でも注目されている人獣共通感染症である。今回、肝細胞癌治療経過中に同菌が血液培養から分離された1例を報告する。平成23年3月現在、同菌が血液培養から同定された国内報告はない。【症例】79歳男性【主訴】発熱、体動困難【現病歴】平成19年より肝細胞癌指摘され、平成22年6月肝動脈化学塞栓療法施行。同年8月3日から発熱と下痢を来し、経口摂取困難となったため、8月6日当院搬送、入院となった。【入院所見】来院時は意識JCSI-3,体温38.1℃,血圧109/78mmHg,脈拍100bpm。血液学的検査にてWBC 24200/μl,CRP 20.5mg/dl,T-Bil 2.0mg/dl,AST 116IU/l,ALT 71IU/l,LDH 429IU/l,γGTP 35IU/l,ALP 221IU/lと炎症反応高値と軽度肝障害を認めた。Child-Pugh分類GradeAで、腫瘍マーカーの上昇なく、肝機能は保たれていた。【入院後経過】細菌感染による敗血症を疑い、担癌患者の重症感染症と考えたため、meropenem開始した。入院病日2日血液培養が2セット陽性。入院病日3日右肘関節痛、左股関節痛を認めた。入院病日5日炎症反応改善、解熱を認めmeropenem中止。 入院病日25日全身状態改善し転院となった。転院後入院時施行した血液培養から同菌と同定された。【結論】本症例では、鼠による咬傷・掻傷歴はなく、唾液や糞尿の接触やエアゾル吸入による感染経路が疑われた。衛生面のインフラ整備や抗生物質の進歩から、想起しにくい疾患であるが、本症例のように免疫能低下みられる患者は重症化する危険性があるため、鑑別診断に挙げるべき疾患といえる。
索引用語 Streptobacillus moniliformis, 敗血症