セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告6

タイトル 消P-763:

致死的不整脈治療薬アミオダロンに起因した肝障害についての症例検討

演者 三好 由里子(東芝病院・消化器内科)
共同演者 手島 一陽(東芝病院・消化器内科), 金原 猛(東芝病院・消化器内科), 井上 陽介(東芝病院・消化器内科), 中込 良(東芝病院・消化器内科), 田上 大祐(東芝病院・消化器内科), 田代 淳(東芝病院・消化器内科), 松原 康朗(東芝病院・消化器内科), 三輪 純(東芝病院・消化器内科), 平林 寧子(東芝病院・病理科), 新井 雅裕(東芝病院・消化器内科)
抄録 【背景】心室性頻拍、心室細動など致死的不整脈に用いるアミオダロンによる肝障害は特徴的CT像で知られるが、使用に関するガイドライン(Am Fam Physician 2003)に、不整脈再発による生命リスクを踏まえた投与中止考慮との記載があるものの具体的指針がないのが現状である。血中半減期が極めて長期である点や慢性的にミトコンドリア障害、NASH様病態を経て肝硬変に至る点から方針決定に苦慮する例も報告されている。【目的】アミオダロンによる肝障害を認め、生化学検査、肝CT値、血中濃度が経過観察され、かつDLST、肝組織検査が可能であった2例の検討から、併存心疾患と肝障害の相互関連を踏まえた方針決定につき考察した。【症例】(症例1) 85歳男性。非持続性心室頻拍に対しアミオダロンを低容量200mg/日で開始。10ヶ月後より肝障害が出現、peak AST 95 IU、血中濃度1110 ng/ml(有効域500-1000 ng/ml)、CT上びまん性高吸収値(99 Hounsfield unit:HU、正常40-70 HU)を認め、DLST 129%、組織学的に軽度interface hepatitisが見られたが他の特異的所見は認めなかった。投与開始18ヶ月、積算量108gで投与継続不要の判断で中止されたが、中止後50日で血中濃度693 ng/ml、CT値95 HUであった。肝障害は投与中止後改善し、致死的不整脈再発も認めていない。(症例2)66歳男性。心房細動、大動脈弁・僧帽弁形成術後、除細動器埋め込み時にアミオダロン200mg/日開始。ASTは以前から50 IU程度であったが13ヶ月後現在83 IUと上昇傾向で、血中濃度1099 ng/ml、CT値100 HUと高値、DLST 81%、組織学的には脂肪変性や線維化を含め特異的所見を認めなかった。現在積算量85g、内服継続必要と判断し経過観察中である。【結語】アミオダロンによる肝障害は肝硬変にも至るが、同剤中止は致死的不整脈再発リスクから容易ではなく、肝臓専門医も協同して肝病態を把握の上、血中濃度モニタリング下での投与が必要と考えられる。
索引用語 薬物性肝障害, アミオダロン