セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告6

タイトル 消P-766:

間質性肺炎で経過観察中に急性発症した自己免疫性肝炎の2例

演者 荻原 伸悟(順天堂大浦安病院・消化器内科)
共同演者 北村 庸雄(順天堂大浦安病院・消化器内科), 岡田 安郎(順天堂大浦安病院・消化器内科), 松山 秀二郎(順天堂大浦安病院・消化器内科), 岩本 志穂(順天堂大浦安病院・消化器内科), 岡村 庸介(順天堂大浦安病院・消化器内科), 松本 紘平(順天堂大浦安病院・消化器内科), 鈴木 佑(順天堂大浦安病院・消化器内科), 山中 晃一郎(順天堂大浦安病院・消化器内科), 丸山 俊秀(順天堂大浦安病院・消化器内科)
抄録 典型的な自己免疫性肝炎(AIH)は慢性肝炎の臨床像を呈し、ときに急性増悪をきたすが診断は比較的容易である。一方、急性発症の自己免疫性肝炎が急性肝不全に移行した場合には診断が困難で、他の自己免疫性疾患の存在も診断に重要となり得る。今回我々は、間質性肺炎の経過観察中に急性発症したと考えられる AIH を2例経験したので報告する。[症例1] 75歳、男性。間質性肺炎の診断にて当院呼吸器内科で経過観察中であったが肝機能検査値に異常はみられず、突然の肝機能異常のため入院となった。PT 活性は 10%以下、ANA 320 倍、IgG 3388 mg/dl であり AIH の急性発症と診断した。同日、血漿交換およびステロイドパルス治療を開始し肝機能異常は改善したが、間質性肺炎が急性増悪し永眠された。[症例2] 66歳、男性。当院呼吸器内科にて間質性肺炎の診断で経過観察中に肝機能異常がみられ入院となった。PT 活性は 38%、ANA 80 倍、IgG 2891 mg/dl であり、AIH の診断でプレドニゾロン 40 mg/day より開始した。その後肝機能は改善し、間質性肺炎も著変なく経過観察中である。[考察] AIH は中年女性に多くみられ慢性に進行するとされているが、近年、急性発症の報告例も散見され、男性の高齢発症も少なからず存在する。急性発症例で急性肝不全に移行した場合には、肝生検が可能であっても病理組織学的な診断が困難なことが多く、その存在を早期に意識することが重要と考えられる。間質性肺炎と AIH の合併例の報告は少なく、各々の典型例において共通の病態が背景にあるとは考え難いが、症例1では肝機能の悪化とともに間質性肺炎の急性増悪がみられており、全身的な自己免疫性疾患の増悪として理解することも可能と思われる。[結語] 原因の明らかでない急性肝障害に遭遇した場合、全身状態を正確に把握し、急性発症の AIH の可能性を念頭において治療を考慮する必要があると考えられた。
索引用語 自己免疫性肝炎, 間質性肺炎