セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他1

タイトル 消P-770:

癌腹膜播腫症例の難治性腹水に対する腹水濃縮ろ過還流療法の有効性の検討

演者 大関 瑞治(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター・消化器内科)
共同演者 天貝 賢二(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター・消化器内科), 菅谷 明徳(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター・消化器内科), 藤枝 真司(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター・消化器内科), 荒木 眞裕(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター・消化器内科), 五頭 三秀(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター・消化器内科)
抄録 【目的】当院における腹水濃縮ろ過還流療法の施行状況、治療成績を明らかにし腹水濃縮ろ過還流療法が癌腹膜播腫症例に抗がん剤治療を継続するうえで有効な支持療法となり得るか検討した。【方法】当院で2009年7月から2010年12月までに腹水濃縮ろ過還流療法を導入した悪性疾患を有する15症例、また同時期に悪性疾患を有し腹腔穿刺のみ行った19症例を対象とした。治療開始後からの化学療法継続期間、生存期間、入院期間割合を指標に後ろ向きに検討した。【結果】疾患内訳は腹水濃縮ろ過還流療法群で胆道癌7例、膵癌4例、大腸癌2例、卵巣癌1例、GIST1例であった。年齢は61.2±11.3歳、性別は男性9例、女性6例であった。腹水濃縮ろ過還流の施行回数は2.4±1.3回であった。腹腔穿刺のみの疾患内訳は大腸癌6例、胆道癌3例、胃癌3例、膵癌2例、乳癌2例、卵巣癌1例、食道癌1例、肝細胞癌1例であった。年齢は65.0±9.5歳、性別は男性12例、女性7例であった。腹腔穿刺の施行回数は4.6±2.9回であった。生存期間中央値は腹水濃縮ろ過還流群66日、腹腔穿刺群36日であった。入院期間割合は腹水濃縮ろ過還流群33%、腹腔穿刺群24%であった。また腹水濃縮ろ過還流群では3例に化学療法を継続し得た症例(胆道癌2例、膵癌1例)が見られ、それらの化学療法継続期間は53日、50日、27日であった。【考察】肝硬変症の難治性腹水に対する腹水濃縮ろ過還流療法の有効性を示す報告例は散見されるが進行癌を対象とした報告例はほとんどみられない。本報告において進行癌に腹水濃縮ろ過還流を導入した群は腹腔穿刺のみ行った群に比し腹腔穿刺処置の回数を減らし、生存期間を延長させる可能性があると考えられた。
索引用語 腹水, 悪性疾患