セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他2

タイトル 消P-771:

80歳以上高齢患者における胃癌・大腸癌待機根治手術後の生活機能(ADL)変化

演者 深田 伸二(国立長寿医療研究センター)
共同演者 小田 高司(愛知県がんセンター愛知病院・乳腺科), 黒岩 厚二郎(東京都健康長寿医療センター・外科)
抄録 【目的】80歳以上であっても比較的安全な根治手術が可能となった胃癌・大腸癌の待機手術症例におけるADLの術後中・長期経過とADL低下の予測因子を検討した。【方法】75歳以上の胃癌・大腸癌待機手術例を対象として行ったADL,QOLの変化に関する多施設共同コホート研究(厚生労働省長寿医療研究委託事業(C14-3))の対象症例223例のうち、80歳以上の108例について解析した。年齢、性別、病期とともに、術前身体情況はPOSSUM scoreと E-PASS score およびMMSE やBMI などにより評価し、ADLはKats scoreなどにより、QOLはSF-12とEuroQoL 5-Dにより、術前および術後1,3,6ヶ月で評価した。術後死亡や術後合併症も検討し、術後合併症の重症度はNCI-CTC (National Cancer Institute-Common Toxicity Criteria) によった。【成績】男性54例、女性54例で、平均年齢83.7±3.2歳(80歳-92歳)であった。BMIは男性21.0±3.8、女性21.3±3.2であり、術前MMSEは25-30が65%、21-24が22%、20未満が13%であった。死亡例は8例(手術死亡0例、原病死2例、他病死6例)で,中等度以上の術後合併症は30例(28%)に認められ、術後せん妄が13例(12%)で最も多かった。Kats Indexは術後1ヶ月では高率に低下したが,術後6ヶ月には94%の症例で回復した。さらに詳細にADLについて検討すると、術後6ヶ月時点で術前より軽度ながらADL低下の見られた症例が12例(11%)存在し、その94%は退院後に低下が見られた。術前MMSEがADL低下の予測因子であった。QOLは術後一時低下するものの,術後3-6ヶ月で術前値に回復するかそれ以上に改善した。【結論】80歳以上の胃癌・大腸癌の待機根治手術では術後合併症率は28%と比較的高率であったが、手術死亡はなかった。手術により術後一時的なADL低下が高率に生じるものの長期的には大多数の症例で回復し、QOLも回復・改善された。術後ADL低下の予測因子としてはMMSEが有用と思われた。
索引用語 高齢患者, 術後の生活機能