セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他2

タイトル 消P-772:

悪性消化管閉塞に対する緩和手術症例の検討

演者 中塚 英樹(燕労災病院・外科)
共同演者 沢津橋 孝拓(燕労災病院・外科), 清水 孝王(燕労災病院・外科), 森岡 伸浩(燕労災病院・外科), 宮下 薫(燕労災病院・外科)
抄録 背景: 消化器癌術後腹膜再発に対する有効な治療法は定まっていない。病変の肉眼的切除が可能であっても根治は困難である。なかでも腸閉塞を来すと、減圧チューブが挿入され、著しくQOLが低下したまま最期を迎える例も多い。一方、減圧目的の人工肛門造設術やバイパス術が施行され、経口摂取が可能となると、退院して状態がよければ化学療法も可能である。しかし、手術したとしても経口摂取ができないこともあり、その適応は難しい。当科における消化器癌に由来する腸閉塞手術症例を検討した。方法:2001年より2010年までの10年間で経験した消化器癌術後再発による腸閉塞手術症例を検討した。術前にCTやイレウス管造影で閉塞部位が1箇所と思われる症例で、閉塞が解除できれば経口摂取が期待できる症例を手術適応とした。結果:対象症例は17例で、のべ19回の手術を施行した。男性8例、女性9例。原疾患は胃癌7例、大腸癌9例、膵癌1例。年齢は27歳から89歳(中央値61歳)。PSは0が5例、1が5例、2が6例、3が1例(緊急手術例)。術式は人工肛門造設11例。バイパス術4例。閉塞部位切除吻合4例。術後生存期間中央値は91.5日(11-575日)。2度の手術が施行された2症例は、長期生存(450日と575日)例となった。経口摂取可能となったのは16例(94%)。そのうち退院できたのは13例(76%)。経口摂取できなかった1例については、腸蠕動が回復せず、術早期より嘔吐を認め11病日に死亡した。術後に化学療法が施行されたのは6例(35%)で、これらの生存期間中央値は296日(90-575日)であった。結論:適応を厳密にすれば、多くの症例で食事、退院が可能となった。全身状態がよければ、悪性消化管閉塞であっても、良好なQOLが得られると思われた。
索引用語 腹膜播種, 腸閉塞