セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他3

タイトル 消P-777:

消化器癌発症リスクに関与する遺伝子多型の検討

演者 園山 隆之(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
共同演者 加藤 博也(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 山本 和秀(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
抄録 【目的】我が国での癌死亡は年間34万人以上で,その内消化器癌は癌死亡の第2位から第5位までを占めている.また癌の生涯累積罹患リスクは男性54%,女性で41%とされ,約2人に1人が一生涯に何らかの癌に罹患することになる.高齢化が進む中,生涯にわたり複数の癌に罹患する者も少なくない.今回我々は発癌に関与すると考えられる複数の遺伝子の一塩基多型(以下SNP)を調べ,消化器癌を含む重複癌とのリスクを検討した. 【方法】2003年から2009年3月までに岡山大学病院消化器内科,分子遺伝学講座で集められた様々な癌患者約2500人のうち,消化器癌(食道,胃,大腸,肝臓,胆道,膵臓癌)を有する重複癌(同時性,異時性)患者121人と,癌の既往の無い健常者246人の末梢血から抽出したDNAを用い,SNapShot法でSNPの遺伝子型を判別し,統計解析を行った.【成績】ALDH2 Glu504LysのSNPにおいてGlu/Lysの遺伝子型はGlu/Gluと比較して調整オッズ比2.89倍 (95%CI=1.70-4.92 P<0.001)であった.ADH1B His47ArgにおいてArg/Argの遺伝子型はHis/Hisに対して調整オッズ比2.84倍(95%CI=1.72-9.33 P=0.007)であった.またALDHとADH1BのSNPの組み合わせにおいてマイナーアレルであるLysとArgを両方持つ者は,どちらもメジャーホモを持つ者に対して4.32倍(95%CI=2.15-8.69. P<0.001)で,飲酒者においては9.21倍(95%CI=2.15-8.69. P<0.001)であった.【結論】アルコール代謝関連遺伝子のSNPは消化器癌を含む重複癌発症リスクとの関連が示唆された.今後様々な複数のリスクSNPと疫学データを組み合わせることによって,より精度の高い発癌危険度予測や宿主側の悪性度ともいえるハイリスクグループの同定が可能となり,効率的な検診や早期診断が期待される.
索引用語 消化器癌, 遺伝子多型