セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他3

タイトル 消P-779:

FDG-PET診断におけるピットフォール:消化器癌と慢性炎症

演者 曽我 幸一(西陣病院・内科)
共同演者 葛西 恭一(西陣病院・内科), 石田 恵梨(西陣病院・内科), 小林 由佳(西陣病院・内科), 金光 大石(西陣病院・内科), 坂本 京子(西陣病院・内科), 竹中 信也(西陣病院・内科), 柳田 國雄(西陣病院・内科), 伊谷 賢次(西陣病院・内科)
抄録 【目的】当院では1985年からPET装置を導入し、保険適応前から積極的に臨床応用してきた。2002年にはPETが保険適応になり、PETが悪性腫瘍の存在診断、病期診断、機能診断に有用なことは、よく知られたこととなった。FDGは糖取り込みの亢進した細胞によく集積するため、細胞代謝活動が活発な悪性腫瘍だけでなく、活動性炎症にも集積をする。このため悪性腫瘍におけるPET診断は、炎症が関与した様々な問題点が存在する。今回、我々は過去の文献を検索し、PETの有用性を確認するとともに、並存する活動性炎症がPET診断を困難にさせた症例を提示し、PETにおける問題点を検討した。【方法】胃癌、大腸癌、胆道癌、膵癌におけるPETの有用性を過去の文献から検討した。また当院でPET診断に苦慮した症例を提示し、日常診療におけるPETの問題点を検討した。【成績】PETは、悪性腫瘍診断に有用であることは過去の文献から明白である。当院で経験した症例を検討した結果、慢性活動性炎症が並存するH. pylori関連性胃炎(偽陽性)、活動性潰瘍性大腸炎内のColitic cancer存在診断(腫瘍だけでなく背景粘膜もSUV上昇)、黄色肉芽腫性胆嚢炎(偽陽性)、自己免疫性膵炎(偽陽性)と悪性腫瘍の鑑別にはPETでは限界があると考えられた。【結論】当院のPETに対する取組み、我々が考えるPETの有用性、問題点を検討した。PETは消化器癌診断に非常に有用であるが、診断に苦慮する症例があり、その原因を理解しておくことが重要である。今回検討した慢性活動性炎症は、FDG集積を来すため、偽陽性を来す大きな理由となる。また、背景に慢性炎症が並存する疾患では、背景組織と腫瘍のSUV値のコントラストがつきにくいため、診断を困難とする一因となる。消化器癌におけるPET診断困難例は、他のモダリティーを併用することで、その問題点を克服できることが多いが、それでも診断に苦慮する例もある。PETの有用性、潜んだピットフォールを理解することが、PETを活用する上で重要である。
索引用語 PET, 慢性炎症