セッション情報 |
パネルディスカッション6(消化吸収学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
消化吸収の側面からみた炎症性腸疾患の病態と栄養療法
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タイトル |
消PD6-11:クローン病Infliximab維持投与における成分栄養療法併用の有用性の検討
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演者 |
鎌田 紀子(大阪市立大・消化器内科) |
共同演者 |
山上 博一(大阪市立大・消化器内科), 渡辺 憲治(大阪市立大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】 Infliximab(IFX)によりクローン病(CD)治療は大きな変化を遂げたが二次無効例も少なくない。一方、成分栄養(ED)療法も我が国独自の治療法として確立しているが、IFXとの併用における有用性については根拠が乏しい。当科でのIFX維持投与におけるED併用の意義についてretrospectiveに検討した。【方法】2011年11月末までに当科にてCDに対しIFX(5mg/kg)を投与した211例のうち、IFX導入理由が活動性肛門病変であった7例を除き、期間短縮など治療強化を要せず8週毎投与での維持が可能だった症例を対象に、1.病型別、2.免疫調節剤(IM)併用、3.CRPについて、一日のED摂取が900kcal/日以上(ED群)28例と未満(非ED群)97例の2群に分け、Kaplan-Meier法等にて検討した。【成績】男女比は101:24で、小腸型(L1)28例、大腸型(L2)14例、小腸大腸型(L3)83例、計125例であった。1.全病型における8週毎投与で維持可能なIFX投与期間の検討では、非ED群97例に対して有意差を認めた(p=0.0491)。特にL2を除く小腸病変を有する111例における検討では、ED群25例は全例維持可能で、非ED群86例に対して、より強い有意差を認めた(p=0.0145)。2.IM併用群(30例)および非併用群(95例)各々における8週毎投与で維持可能なIFX投与期間の検討では、ED群と非ED併用群の間に有意差は認めなかった。3.IFX開始時のCRP値と8週毎投与で維持可能なIFX投与期間との検討では、ED群と非ED群の間に有意差は認めなかった。【結論】活動性肛門病変を除くCD症例に対するIFX維持投与治療におけるED併用は、8週毎IFX維持投与での維持可能期間を延長させる可能性が示唆された。今後、多施設共同研究での前向き検討が期待される。 |
索引用語 |
Infliximab, 成分栄養療法 |