セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他4

タイトル 消P-784:

当院で保存的加療した門脈ガス血症の4症例

演者 西田 悠(川崎病院・消化器内科)
共同演者 竹内 庸浩(川崎病院・消化器内科), 野村 祐介(川崎病院・消化器内科), 多田 秀敏(川崎病院・消化器内科), 前田 哲男(川崎病院・消化器内科)
抄録 門脈ガス血症は腸管壊死など重篤な病態に起因し、予後不良の兆候であり早急な外科的治療が必要とされることが多い。我々は、門脈ガス血症を認めたが、保存的に加療した4症例を経験したので報告する。【症例1】82歳男性、貧血の進行を認め精査入院。上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部全壁に穿孔性潰瘍を認めた。腹部CTで遊離ガスおよび門脈ガスを認めた。抗凝固療法中でありPS不良より手術困難と判断し保存的に加療行った。第3病日に全身状態増悪し死亡した。【症例2】95歳女性、嘔吐・発熱を主訴に当院受診。CTにて右肺に肺炎像を認め、肝内に門脈ガスおよび骨盤腔内ガスを認めた。血液ガスにてアシドーシスを認め腸管壊死を疑うも、高齢であることを考慮し保存的加療とした。その後症状改善し第3病日にはCTで門脈ガスおよび骨盤腔内ガスは消失した。【症例3】91歳女性、肝機能異常を指摘され精査目的入院。ERCPで総胆管下部に結石を認め、総胆管中部に狭窄を認めた。狭窄部をバルーンカテーテル通過時に胆管損傷を来し、門脈と交通を形成した。ERBDチューブを留置し検査を終了した。検査後のCTで門脈ガスを認め、ERCPの合併症と判断。保存的に経過観察するが、腸管壊死の腹部症状は出現せず状態は安定した。【症例4】84歳女性、イレウスにて入院。絶食にて腹部症状軽減し第3病日より食事開始するも腹痛の増悪は認めず。しかし、第7病日に腹痛・嘔吐を認めCTを施行したところ肝内に門脈ガスを認めた。血圧低下や呼吸苦も認めショックとなった。腸管壊死を疑うも血液ガスでアシドーシスを認めず、1時間後にCT再施行したところ門脈ガスは著明に減少していた。腹部症状も軽減したため保存的加療とした。その後は徐々に症状軽減し第8病日施行のCTでほぼ門脈ガスは消失した。【まとめ】近年門脈ガスを認めるも必ずしも腸管壊死に起因しない症例が報告されている。我々は門脈ガス血症で様々な転帰を迎えた4症例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 門脈ガス血症, 腸管壊死