セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他4

タイトル 消P-787:

経カテーテル的動脈塞栓術にて止血した前下膵十二指腸動脈瘤による腹腔内出血の2例

演者 永野 敦嗣(長岡赤十字病院・消化器内科)
共同演者 木村 成宏(長岡赤十字病院・消化器内科), 西垣 佑紀(長岡赤十字病院・消化器内科), 三浦 智史(長岡赤十字病院・消化器内科), 高野 明人(長岡赤十字病院・消化器内科), 嘉戸 慎一(長岡赤十字病院・消化器内科), 中村 潤一郎(長岡赤十字病院・消化器内科), 山田 聡志(長岡赤十字病院・消化器内科), 三浦 努(長岡赤十字病院・消化器内科), 柳 雅彦(長岡赤十字病院・消化器内科), 高橋 達(魚沼病院)
抄録 今回、われわれは膵十二指腸動脈瘤破裂による腹腔内出血にてショック状態で救急搬送され、経カテーテル的動脈塞栓術にて治療した2例を経験したので報告する。症例1は68歳男性。飲酒歴は日本酒2合/日。X年7月に突然の心窩部痛とショックにて発症し当院に救急搬送された。CTにて腹腔内の巨大な血腫とその内部に動脈瘤と造影剤の漏出を認め内臓動脈瘤の破裂と診断した。腹部血管造影にて前下膵十二指腸動脈に造影剤の漏出を伴う径22mmの動脈瘤を認めた。マイクロコイルにて動脈瘤の遠位側と近位側とを塞栓した。第2病日に心房細動から血行動態の悪化を来し人工呼吸器管理を要したが改善した。さらに30病日に腹腔内血腫による十二指腸水平脚の圧排・狭窄と胆汁うっ滞を認めたが、保存的加療にて軽快した。血腫の縮小と共に十二指腸狭窄も改善し、経口摂取可能となり、第68病日に退院した。症例2は47歳男性。飲酒歴は日本酒3合/日。Y年12月に心窩部痛とショックにて近医を経て救急搬送された。CTでは腹腔内血腫と造影剤の漏出を伴う前下膵十二指腸動脈瘤を認めた。緊急血管造影にて前下膵十二指腸動脈に径28mmの動脈瘤を認め、マイクロコイルを用い動脈瘤の遠位側と近位側を塞栓した。その後、第7病日に腹腔内血腫による十二指腸下行脚から水平脚の壁外性圧迫狭窄を認めた。保存的加療にて軽快したため経口摂取を再開し、第40病日に退院した。膵十二指腸動脈瘤の破裂は比較的稀で多くの場合無症状であるが破裂により出血性ショックにて発見される。CTにて診断後、速やかに腹部血管造影を施行し、動脈塞栓術を実施することが有用であり、奏功例の報告が増加している。また、腹腔内血腫による十二指腸の圧排や狭窄に対し、手術施行例の報告もあるが、自験例のように保存的に改善する例もあるため、患者のQOLを重視し、早期に診断と治療を行い、社会復帰を目指すべきと考えられた。
索引用語 膵十二指腸動脈瘤, 動脈塞栓術