セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他5

タイトル 消P-788:

孤立性上腸間膜動脈解離の6例

演者 後藤 規弘(西神戸医療センター・消化器科)
共同演者 荒木 理(西神戸医療センター・消化器科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター・消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター・消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター・消化器科), 松森 友昭(西神戸医療センター・消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター・消化器科), 島田 友香里(西神戸医療センター・消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター・消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター・消化器科), 三村 純(西神戸医療センター・消化器科)
抄録 【背景と目的】孤立性上腸間膜動脈解離は、既往のない中年男性に発症する原因不明のまれな疾患とされてきたが、MDCTの普及に伴いその報告例は増加している。保存的加療にて軽快した症例の報告が多く見られるが、その治療方針や予後については不明な点も多い。当院で診断された孤立性上腸間膜動脈解離の症例について検討を行う。【対象】2008年4月~2011年3月に当院において孤立性上腸間膜動脈解離と診断された6症例(男5例、女1例、年齢41~69歳(中央値50.5歳))を対象としてretrospectiveに検討を行った。【結果】6例全例が保存的加療により軽快した。1例は他疾患の精査目的の腹部造影CTで偶然発見され(無症候性)、5例は心窩部痛の主訴にて来院した。4例においてD-dimerの測定が行われていたが、いずれも正常範囲内であった(0.06~0.35μg/ml)。6例全例において、造影CTでは腸管虚血を示唆する所見は認めなかった。また、1例において腹部動脈瘤の合併を認めた。解離は上腸間膜動脈起始部から0~8mm下流側から始まっており、解離腔の長さは15~100mm(中央値73.5mm)であった。6例全例において解離腔は血栓化していた。5例は真腔内の血流を認めたが、1例は真腔内の血流を認めなかった。この症例では4日後のCTでは真腔内に血流の再開通を認めていた。また、解離腔は5例において中結腸動脈起始部に及んでいたが、中結腸動脈の閉塞を認めたのは1例のみであった。中結腸動脈の閉塞を認めた1例においても横行結腸の虚血を示唆する所見は認めなかった。3例は当院で造影CTによる定期的な経過観察が行われており、そのうち2例は3ヶ月後のCTで解離腔は消失していた。【結語】造影CTで腸管の虚血を認めない孤立性上腸間膜動脈解離は、厳重な経過観察のもとでの保存的治療が可能であることが示唆される。
索引用語 孤立性上腸間膜動脈解離, 保存的加療