セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他5

タイトル 消P-789:

全身性アミロイドーシス合併IgG4関連多臓器リンパ増殖症候群(IgG4+MOLPS)の1剖検例

演者 西東 秀晃(住友病院・消化器内科)
共同演者 岸田 修(住友病院・消化器内科), 吉田 有里(住友病院・消化器内科), 光藤 元子(住友病院・消化器内科), 木下 和郎(住友病院・消化器内科), 藤本 敬(住友病院・消化器内科), 山田 晃(住友病院・消化器内科)
抄録 IgG4+MOLPSは高IgG4血症(135mg/dl以上)、組織学的に著明なIgG4陽性形質細胞浸潤(IgG4+/IgG+≧40%)を示すことが診断基準とされるが、臨床像が多彩であるため疾患概念の確立に至っていない。今回我々は、急速な肝腎不全の進行のため急変した1剖検例の検討により、IgG4+MOLPSに全身性AL型アミロイドーシスを合併した1例を経験したので報告する。
 症例は50代後半の糖尿病で通院中の男性。30歳代時に唾石症にて右唾液腺摘出した既往がある。約3ヶ月前頃から蛋白尿がみられ、徐々に血清Alb値が低下し肝胆道系酵素が上昇し、全身倦怠感が出現したため精査目的で当科入院となった。腹部造影CT/MRIでは肝臓・脾臓の血流低下(造影不良)があり、線維化の疑いがあったためIgG4を測定したところIgG4 1360mg/dl (IgG 1849mg/dl)と上昇を認めた。しかし肝・腎生検ではIgG4染色は陰性で、アミロイドの沈着が認められた。
 まだ治療前であったが、入院2週間後に急速な肝腎不全の進行により死亡された。病理解剖の結果、心、脾、肺、肝、腎、副腎、膵、消化管、甲状腺、前立腺、唾液腺、膀胱に全身性アミロイド沈着(AL型(κtype))を認めた。加えて骨髄、リンパ節、唾液腺でIgG4陽性形質細胞の増加を認めIgG4+/IgG+比は43%であった。
 本例はIgG4陽性形質細胞が産生したAL型アミロイドが全身臓器に沈着し死に至ったと考えられる。これまでIgG4関連疾患に全身性アミロイドーシスが合併した報告は検索した限りにおいてみられず非常に稀な症例であると思われる。同時に近年注目されているIgG4+MOLPSに含有される、新たな病態の提唱につながると思われるためここに報告する。
索引用語 ALアミロイドーシス, IgG4関連疾患