セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他5

タイトル 消P-790:

消化管浸潤をきたしたMantle cell lymphomaの3例

演者 華井 頼子(中濃厚生病院・消化器科)
共同演者 勝村 直樹(中濃厚生病院・消化器科), 森野 浩太郎(中濃厚生病院・消化器科), 山崎 健路(中濃厚生病院・消化器科), 尾辻 健太郎(中濃厚生病院・消化器科), 小木曽 英介(中濃厚生病院・消化器科), 小澤 範高(中濃厚生病院・消化器科), 森 良雄(中濃厚生病院・病理部), 高見 剛(岐阜大附属病院・病理部)
抄録 Mantle cell lymphoma(MCL)は日本ではNHLの約3%とまれな疾患である。病変部位はリンパ節が最も多いが、節外病変として脾臓・骨髄・末梢血・消化管や扁桃への浸潤が多い。消化管浸潤をきたしたMCL3症例を経験したので報告する。【症例1】82歳男性。体重減少・貧血・LDH高値・全身LN腫脹を認め当科紹介。鼠径LN生検しCyclinD1+などよりMCLと診断した。消化管内視鏡検査では胃穹隆部大弯と十二指腸球部の皺壁腫大を認め、大腸では腫瘤形成を認めた。病理検査ではいずれもMCLの浸潤を認めた。【症例2】76歳男性。シェーグレン症候群・SLE・深部静脈血栓症で外来治療中貧血、顎下腺腫脹、鼠径LN腫脹を認めた。鼠径LN生検しCyclinD1+などよりMCLと診断した。消化管内視鏡検査で胃角小弯に2型腫瘍を認め、胃体部大弯の皺壁腫大、十二指腸multiple lymphomatous polyposis(MLP)、大腸MLPを認めた。病理検査では2型腫瘍は胃癌、胃の皺壁腫大部、十二指腸・大腸MLPはMCLと診断された。【症例3】73歳男性。労作時呼吸困難、両側胸水を認め当院紹介。体重減少・鎖骨上・腋窩・鼠径LN腫脹を認め、CTで脾腫、縦隔・傍腹部大動脈LN腫脹指摘された。腋窩リンパ節生検しCyclinD1+などよりMCLと診断。消化管内視鏡検査では胃体部大弯の皺壁腫大と胃前庭部小弯にびらんを認め病理検査でMCLの浸潤を認めた。染色体検査でt(11;14)(q13;q32)の転移を認めた。【考察】MCLの消化管病変ではMLPが多く、MCLの20-30%にMLPを認めると報告されているが、その他にも多彩な形態を呈する。胃では皺壁腫大や潰瘍、腫瘤などを呈するが、十二指腸から大腸にかけてはほどんどの例でMLPの形態を呈する。また粘膜面に変化を認めない部位でも病理組織学的には高率にMCLの浸潤を認めるとの報告もある。MCLでは病理学的診断や病期診断のため積極的に上下部消化管内視鏡検査・生検を実施する必要があると考えられた。
索引用語 Mantle cell lymphoma, 消化管浸潤