共同演者 |
陶山 遥介(京都第一赤十字病院・消化器科), 豊川 優季(京都第一赤十字病院・消化器科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院・消化器科), 小野澤 由里子(京都第一赤十字病院・消化器科), 北市 智子(京都第一赤十字病院・消化器科), 田中 信(京都第一赤十字病院・消化器科), 間嶋 淳(京都第一赤十字病院・消化器科), 川上 巧(京都第一赤十字病院・消化器科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院・消化器科), 鎌田 和浩(京都第一赤十字病院・消化器科), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院・消化器科), 中村 英樹(京都第一赤十字病院・消化器科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院・消化器科), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院・消化器科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院・消化器科), 高顕 純平(京都第一赤十字病院・健診部), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院・消化器科) |
抄録 |
【症例1】70歳男性。糖尿病にて当院通院中、CTで膵尾部・肝・肺に腫瘤認め当科紹介。ERCPで膵尾部の狭窄認め、膵管ブラシ施行し膵癌(cT4,N0,M1:stageIVb)と診断。その後Gemcitabine単剤療法3Kur後、S-1+Gemcitabine併用療法1Kur施行中に左片麻痺・構音障害出現し、CTで右尾状核の梗塞を認めた。脳梗塞発症時ATIII 75%、FDP 34.5ug/ml、Dダイマー 18.31ug/mlであった。【症例2】72歳女性。胆嚢癌に対し手術施行(pT3,N0,M0:stageIIIa)後、Gemcitabine単剤療法施行していたが、胆管空腸吻合部に再発認めPTCD施行しstent留置した。しかし再閉塞認め、再度PTCD施行した翌日に上肢の脱力・構音障害出現し、CTで左側頭葉の梗塞認めた。FDP 37.9ug/ml、Dダイマー 17.48ug/mであった。【症例3】70歳男性。下肢の脱力にて救急受診し、頭部CT・MRIにて脳幹部梗塞認められた。明らかな凝固線溶系マーカーの異常は認めなかった。脳梗塞治療中に下血認めたため、大腸内視鏡施行し直腸癌と診断され手術(pA,N1,M0:stageIIIa)となった。【症例4】61歳男性。近医より糖尿病コントロール不良のため紹介。CTで膵尾部・肝に腫瘤認め、腹腔内に播種結節も認めた。ERCPで膵尾部の狭窄認め、膵管ブラシ施行し膵癌(cT4,N0,M1:stageIVb)と診断。Gemcitabine単剤療法2Kur目に右半身麻痺・構音障害出現し救急受診した。CTで左前頭葉含む多発脳梗塞認め、ATIII74%、Dダイマー 3.69ug/ml、TAT 5.8ng/mlであった。【考察】消化器癌に脳梗塞を併発したTrousseau症候群4例を経験した。Trousseau症候群は悪性腫瘍に伴い血栓塞栓症を生じる病態である。何れも進行した病変で発症しており、4例中3例で凝固線溶系マーカーの異常が認められた。Trousseau症候群は進行癌に伴う重篤な合併症の一つであると考えられるため文献的考察を加えて報告する。 |