セッション情報 パネルディスカッション6(消化吸収学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

消化吸収の側面からみた炎症性腸疾患の病態と栄養療法

タイトル 外PD6-12:

生物学的製剤Infliximab/Adalibmab投与クローン患者における栄養療法の有用性

演者 入江 朋子(高野病院・消化器外科)
共同演者 野崎 良一(高野病院・消化器内科), 大湾 朝尚(高野病院・消化器内科)
抄録 【目的】クローン病(CD)の治療は生物学的製剤が導入されて以来、我が国でも治療の中心となってきているが、栄養療法(ED)と薬物療法の組み合わせにより、さらに質のよい寛解維持療法の考案が期待される。今回われわれはInfliximab(IFX)/Adalibmab(ADA)投与CD患者に対する維持療法の違いが栄養状態や腸管病変に及ぼす影響について検討した。【方法】2005年9月から2011年9月までにIFX/ADAの投与を開始したCD患者114例を対象とした。A群:IFX/ADA単独投与23例、B群:ED/HPN併用67例(HPN3例)、C群:免疫調節剤(AZA)のみ併用5例、D群:ED+AZA両剤併用18例であった。検討1:A群とB,C,D群各間で栄養状態について血清Alb、Hb、T-cho、総リンパ球数(TLC)、予後栄養指数(PNI)を、炎症の程度についてCRPを用い、IFX/ADA投与開始時と投与後6ヵ月時との改善度について比較検討した。検討2:B群内をED900kcal以上・未満に分け、上記同項目について検討した。【結果】1)男女比94:20、観察期間中央値73.6ヵ月(6-1366ヵ月)、病型は小腸大腸型98/小腸型10/大腸型6例。初回IFX投与98例(うちADAへスイッチ21例)、初回ADA投与群は16例であった。IOIBDscoreは平均2.54点、手術回数は平均2.3回、肛門病変を有する症例は75例(65.7%)であった。2)D群はA群に比べて有意にAlb、TLCが改善した(それぞれP=0.0079,P=0.01)。Hb値は有意な傾向を認めた(P=0.093)。一方、CRPについては各群間で有意差を認めなかった。3)B群内でED900kcal以上の群は、900kcal未満群と比較し、PNI、TLCが改善する傾向を認めた(それぞれP=0.06,P=0.09)。【結論】今後のCD治療において、IFX/ADAに免疫調節剤と栄養療法を併用した際に栄養状態が改善する傾向が示唆された。一方、寛解維持効果については免疫調節剤や栄養療法を併用しても改善は認められなかった。
索引用語 クローン病, 栄養療法