セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他6

タイトル 消P-797:

インフリキシマブ投与が有効であった腸管ベーチェット病の2例

演者 濱田 康彦(三重大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 葛原 正樹(三重大附属病院・光学医療診療部), 田中 匡介(三重大附属病院・光学医療診療部), 堀木 紀行(三重大附属病院・光学医療診療部), 二宮 克仁(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 田野 俊介(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 井上 宏之(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 高山 玲子(三重大附属病院・医学・看護学教育センター), 竹井 謙之(三重大附属病院・消化器・肝臓内科)
抄録 難治性腸管ベーチェット病の治療においてインフリキシマブは有効でないかと期待されているが、エビデンスに乏しく標準的治療として認められていないのが現状である。今回われわれは、インフリキシマブが有効であった難治性腸管ベーチェット病の2例を経験したので報告する。
【症例1】19歳,男性。近医でクローン病と診断され絶食、輸液、5-ASA製剤、ステロイド投与、栄養療法等を行うも病状は改善せず、精査加療目的で当院へ紹介された。当院で行った大腸内視鏡検査では回盲部中心に多発する潰瘍を認め、上部消化管内視鏡検査では食道にも潰瘍を認めた。これらの組織生検では非特異的炎症所見のみであった。内視鏡所見、臨床経過より腸管ベーチェット病と診断、ステロイド抵抗症例のためインフリキシマブ投与を行ったところ、病状の改善を認めた。
【症例2】69歳,男性。腹痛、下血精査目的にて当院へ紹介された。大腸内視鏡検査では横行からS状結腸にかけて多発するびらんを認めるのみであったが、ダブルバルーン小腸内視鏡検査にて回腸中心に多発する潰瘍を認めた。これらの組織生検では非特異的炎症所見のみであり、口腔内アフタとブドウ膜炎の既往があることより腸管ベーチェット病と診断した。5-ASA製剤,コルヒチンの投与を行い一旦病状は改善し退院するも、6ヵ月後に腹痛、炎症反応の上昇を認め再入院となった。難治症例としてインフリキシマブ投与を行ったところ、病状は改善した。
ベーチェット病は手術が必要になることがあり、また術後再発を繰り返すことも多い。そのため腸管温存および術後再発予防の観点からは内科的保存治療が必要であり、インフリキシマブはそのひとつの選択肢となり得ると考えられた。
索引用語 腸管ベーチェット病, インフリキシマブ