セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

その他6

タイトル 消P-798:

消化器臓器転移を来たし特徴的な臨床像を呈した脈絡膜悪性黒色腫の2例

演者 玉置 敬之(高松赤十字病院・消化器科)
共同演者 野田 晶世(高松赤十字病院・消化器科), 森岡 由美子(高松赤十字病院・消化器科), 上田 祐也(高松赤十字病院・消化器科), 大原 芳章(高松赤十字病院・消化器科), 宮本 由貴子(高松赤十字病院・消化器科), 野上 明子(高松赤十字病院・消化器科), 吉岡 正博(高松赤十字病院・消化器科), 小川 力(高松赤十字病院・消化器科), 松中 寿浩(高松赤十字病院・消化器科), 柴峠 光成(高松赤十字病院・消化器科)
抄録 脈絡膜悪性黒色腫は比較的稀で時に遅発転移を来す予後不良の疾患である。我々は消化器臓器転移を来した脈絡膜悪性黒色腫の2例を経験したため若干の文献的考察を加え報告する。【症例1】55歳女性、1992年6月脈絡膜悪性黒色腫に対して右眼球摘出術を施行された。2004年11月全身倦怠感・右季肋部腫瘤を主訴に紹介され、当科での腹部CTにて多発肝腫瘤を認めたため緊急入院した。全身検索にて原発巣が判明しなかったため肝生検を施行し悪性黒色腫と診断した。造影CT, FDG-PETによる検索の結果肝以外に転移巣を疑う所見を認めなかったため、12月21日に肝血管造影および右肝動脈に対するシスプラチン50mgによる肝動脈内抗癌剤投与 (TAI)を施行した。しかし肝腫瘍は増大傾向を呈し、3月22日他界した。【症例2】70歳男性、10年来の糖尿病と左糖尿病性網膜症の既往あり。2010 年1月より増大傾向を呈する前額部腫瘤を、2月より左視力の低下を自覚していたが放置していた。3月に体重減少・肝腫瘤精査目的で紹介・入院し、当科での上部消化管内視鏡検査にて食道・胃・十二指腸に多発する黒色隆起を、腹部CTにて多発肝腫瘤を認めた。前額部腫瘤全切除生検および胃腫瘍生検の結果悪性黒色腫と診断したが、肝機能障害が高度であり悪性黒色腫に対する治療は困難であった。入院第6病日より全身状態の増悪を来たし、第16病日に他界した。脈絡膜悪性黒色腫は他臓器悪性黒色腫に比して遅発転移傾向が強く、10年以上経過して転移巣が確認される報告も散見される。肝転移も多い傾向を認め、肝が初発転移臓器である確率は50~88%とされる。一方消化管転移は黒色腫症例の50~70%に認められ、剖検例では小腸・胃・大腸の順に多く報告されている。当科での2例では有効な治療が行えず不幸な転帰を辿ったが、原発不明の肝・消化管転移に対しては本疾患からの転移も考慮することが重要と考えられた。
索引用語 脈絡膜悪性黒色腫, 肝転移