セッション情報 パネルディスカッション6(消化吸収学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

消化吸収の側面からみた炎症性腸疾患の病態と栄養療法

タイトル 消PD6-14追:

抗TNF-α抗体療法によるクローン病寛解維持期における成分栄養療法の有効性について

演者 織田 典明(富山県立中央病院・内科)
共同演者 松田 耕一郎(富山県立中央病院・内科), 野田 八嗣(富山県立中央病院・内科)
抄録 【目的】抗TNF-α抗体療法によるクローン病寛解維持期における成分栄養ED療法の併用の有用性について、ED併用の有無と投与量別に検討した。【対象と方法】寛解後インフリキシマブ(IFX)もしくはアダリムマブ(ADA)が継続使用され最近1年間経過観察可能であったクローン病45例を対象とした。内訳はIFX38例、ADA7例で、男女比は28:17、平均年齢31.5歳であった。エレンタール®によるED併用の有無と投与量別に、IOIBD評価スコアに基づき1年以内の再燃率への影響を検討した。再燃とは、スコアが2以上で、赤沈、CRP上昇を認める状態と定義した。【成績】IFX38例中ED併用は23例で、1200kcal以上摂取していたのが4例で全例再燃を認めなかった。1200kcal以下摂取している症例は23例中19例で、内1例で再燃を認め、1年以内再燃率は5.2%であった。一方、ED併用していなかった15例中4例に再燃を認め、1年以内再燃率は27%であった。同様にADA7例中ED併用は2例で、1200kcal以上摂取していた1例では再燃を認めず、1200kcal以下摂取していた1例では再燃を認めた。ED併用していなかった5例中3例に再燃を認め、1年以内再燃率は60%であった。【結論】今回の検討では、抗TNF-α抗体療法によるクローン病寛解維持期における成分栄養ED併用は、再燃予防に有用でることが示され、特に1200kcal以上摂取例では再燃は認められなかった。発表に際しては、ED併用しなくても再燃していないのはどのような例か、どのような例に厳格なED併用がなされていたかも併せて示したい。
索引用語 クローン病, 成分栄養療法