セッション情報 サテライトシンポジウム(消化器病学会)

胃ESDにおける新展開

タイトル 消サテ6-2:

消化管ESDの現状と展望-さらなる高みをめざして-

演者 八木 信明(京都府立医大・消化器先進医療開発)
共同演者
抄録 大学病院でESDという新しく強力な武器を用いて消化管癌の内視鏡治療にあたるとき、1.治療技術の確立2.切除前後の正確な診断3.インフォームドコンセントとリスク管理4.革新的技術の開発と臨床応用の4項目が必要不可欠と考えている。1.治療技術の確立には困難症例や偶発症に対する高度な技術や新規デバイスの採用、教育システムの構築などが重要である。今回、トレーニングシステムとして新規動物モデルを用いたミニハンズオンの有用性について概説する。2.診断面では拡大併用画像強調内視鏡を用いた術前範囲診断が重要であり、さらに切除後の詳細な病理診断とカンファレンスが有益である。当科では早期胃癌や大腸腫瘍の診断に画像強調内視鏡としてNBIとFICEを用いており、各モダリティ間での視認性の相違や深達度診断における有用性ついて述べる。3.ESDという治療法は単に技術が優れているだけでは不十分であり、患者・家族への十分な説明と患者医療者間の相互理解が“より高みをめざした治療”として注目すべきである。この観点から患者説明用パンフレットを作成し、医師、看護師、栄養士、薬剤師を含めた多職種間で患者情報を共有するとともに患者への治療適応、偶発症、行動制限、内服薬などの説明に利用し、良好な成果を得ている。4.大学病院においては革新的技術に対する取り組みが重要視されるのは当然である。当科では、ESD後人工潰瘍の治癒過程における各種バイオマーカーの網羅的遺伝子解析やESD 後2次胃癌と各種パラメーターの分子生物学的検討、ESDを用いた新規腫瘍マーカーの検索などを行っている。内視鏡治療に関して大学病院の役割としては、症例の集約により地域におけるhigh volume centerとして教育、臨床研究に積極的に関与していく必然性がある。そのためには技術指導や臨床研究を含めた臨床と先端医学を支える基礎研究のバランスの取れた体制が必要である。今回、大学病院におけるこれらの重要事項に対する取り組みの現状と今後の展望について述べたい。
索引用語