セッション情報 パネルディスカッション6(消化吸収学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

消化吸収の側面からみた炎症性腸疾患の病態と栄養療法

タイトル 消PD6-16:

小児クローン病治療における栄養療法の実態

演者 石毛 崇(小児炎症性腸疾患治療指針ワーキンググループDELIMITER群馬大大学院・小児科学)
共同演者 余田 篤(小児炎症性腸疾患治療指針ワーキンググループDELIMITER大阪医大・小児科), 田尻 仁(小児炎症性腸疾患治療指針ワーキンググループDELIMITER大阪府立急性期・総合医療センター・小児科)
抄録 【背景】2005年に現行小児クローン病(CD)治療指針案が策定されたが、近年、生物製剤の普及など、CD治療の実態も変化しつつあると推測される。現在の寛解導入治療における栄養療法(EN)の位置づけについてアンケートを行った。【対象】小児CDおよびUC治療指針案・診療ガイドライン作成委員34名に、CD活動期治療におけるENについて(1)意識調査、(2)活動期治療の実態調査を送付した。(2)は2006年以降のCD症例の活動期治療、各施設直近5例までにつき各症例1通を記載し、回収された23施設、58症例につき検討した。【結果】(1)意識調査:寛解導入に当たっては、初発例に対しては82%が全例、18%が症例により栄養療法を行うべきとした。再燃例では57%が全例に、38%が初回寛解導入で有効であった症例に行うべきとされた。寛解導入における栄養療法はFull EDで開始すべきとする意見が84%を占めた。寛解導入後の栄養療法は全例に行うべきとの意見が64%に見られた。(2)実態調査:治療時年齢平均12.0歳、男子42名、44例が初発例であった。57例が寛解導入までにENを施行しており、うちFull EDを施行した症例は38例あった。ステロイド・生物製剤に先行しENを行った39例中31例(79.5%)はENのみで寛解導入可能であった。有効例のFull ED期間は平均15.9日で、EN不応例5例はステロイドないしinfliximabで治療された。EN不応例では、7/8例に縦走潰瘍を認め、有効例に比べて頻度が多い傾向であったが、有意差はなかった。【結語】ENは多くの小児CDの寛解導入治療に有用と考えられており、有効性も高いと推測された。
索引用語 栄養療法, 小児