セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 71:大腸に多発するアフタと回腸に多発潰瘍を認めステロイド投与にて改善を認めたBehcet病の1例 |
演者 | 村岡 正武(済生会熊本病院消化器病センター) |
共同演者 | 江口 洋之(済生会熊本病院消化器病センター), 宮山 裕美子(熊本中央病院消化器科), 松下 郁雄(熊本中央病院消化器科), 櫻井 健一(熊本中央病院消化器科), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院消化器病センター) |
抄録 | 41歳、女性。平成19年5月に39℃の発熱、下腹部痛および肩や肘などの関節痛が出現したため、第3病日に当院を受診した。来院時のCTおよび腹部エコー検査にて、回腸末端の壁肥厚を認め、腹痛が強いため入院となった。大腸内視鏡検査では回腸末端に地図状の浅い潰瘍が多発しており、また、盲腸から上行結腸にかけてアフタも多発していた。当初、感染性腸炎も否定できず抗生剤を投与したが、その後も39℃の発熱、腹痛および関節痛が続き、CRPも10mg/dl前後で推移していた。第8病日からは四肢に結節性紅斑および口腔内アフタが出現した。また、第9病日に、眼科を受診したところ虹彩炎も認めたため、以上よりBehcet病と診断した。第11病日よりプレドニゾロン(PSL) 40mg/日を開始したところ、速やかに解熱し、腹痛、関節痛も軽快した。第30病日の大腸内視鏡検査では、回腸末端に小アフタが散在するのみで、潰瘍は瘢痕化しており、盲腸から上行結腸のアフタも消失していた。以後、1週間毎にPSLを漸減し、20mg/日まで減量したが再燃なく、第50病日に退院となった。現在、外来治療中である。一般的に、腸管Behcet病の潰瘍は、回盲弁上や回腸末端に好発し、大型で円形もしくは類円形の抜き打ち潰瘍で、境界明瞭な潰瘍縁と広い潰瘍底を有することが多い。しかし、本症例では、回腸末端に地図状の浅い潰瘍が多発しており、大腸の多発アフタと併せて非定型的な内視鏡所見であった。近年、非定型的な所見を呈する腸管Behcet病が増加していると言われており、本症例もそのような症例と考えられたため、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | Behcet病, 回腸潰瘍 |