セッション情報 一般演題

タイトル 147:

二次性大動脈十二指腸瘻の1例

演者 阿座上 聖史(高邦会 高木病院 消化器内科)
共同演者 知念 正明(高邦会 高木病院 消化器内科), 森田 秀祐(高邦会 高木病院 消化器内科), 西田 宏二(高邦会 高木病院 消化器内科), 下西 智徳(高邦会 高木病院 内科), 山本 匡介(高邦会 高木病院 外科)
抄録 症例は85歳男性。2007年4月3日黒色にて当科を受診した。7年前他院で腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行されている。また脳梗塞後遺症のためシロスタゾール 200mg/day内服中である。理学所見ではバイタルサイン・腹部所見に異常を認めない。血液生化学検査ではHb 9.4g/dl ,Hct 28.3%と貧血であり、BUN/Crの解離を認めた。CRP は1.72mg/dlと軽度高値であった。腹部エコーでは胆石以外に有意な所見を認めなかった。初診時の上部消化管内視鏡検査では明らかな出血源は認められなかった。4月4日の大腸内視鏡検査では全結腸にわたって憩室が多発していた。左半結腸に黒色便が少量残存していたが明らかな活動性出血を認めなかった。出血源を大腸憩室と考え、シロスタゾールの中止ならびに鉄剤の内服投与にて経過観察した。しかし1週間後の再診時にも黒色便は持続しており、Hb 7.9g/dl, Hct 24.5%と貧血が増悪していた。生化学検査ではBUN/Crの解離、軽度の炎症所見を依然として認めた。消化管出血はまだ続いていると考え再度上部消化管内視鏡検査を施行し十二指腸水平脚に潰瘍形成、人工血管の露出を認めた。造影CTでは十二指腸水平脚と人工血管が広範に接しており人工血管内部へ空気像が連続している所見を認めた。以上より二次性大動脈瘤十二指腸瘻(paraprosthetic-enteric fistura)と診断した。下血はherald bleedingであり、可及的早期に感染人工血管の除去と穿孔部の閉鎖を施行すべき状態であったが高齢で認知症もあり全身状態不良であること、潰瘍部がファーター乳頭に近接しており再建に膵頭十二指腸切除術を要することより根治的手術は不可能と判断した。食物が患部を通過しないことにより潰瘍の進行が防げるのではないかと考え、姑息的手術として胃空腸吻合・Roux-en-Y再建を行った。術後4ヶ月現在、自宅にて経口摂取可能な状況で貧血・炎症所見は正常化している。本症は稀ではあるが人工血管置換術後患者の消化管出血の際、鑑別すべき病態であり若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 消化管出血, 大動脈十二指腸瘻