| 抄録 |
当地区の肝癌標準化死亡比は以前より不良で平成11~14年には男215、女149と最も高値となった。このため肝炎ウイルススクリーニングを早期から開始。HBsAgスクリーニングは1978年に始めた。2007年3月までに34,136名が受診(現人口2.5萬人)。受診者は1885年~2006年生、男女比1:1。陽性者1,453例、4.3%と高率であった。出生年別陽性率は1910年以前生2.9%、’10年台生4%、’20年台生5.1%、’30年台生5.3%、’40年台生6.9%、’50年台生5.4%、’60年台生3.5%、’70年台生2.6%、’80年台生0.5%、’90年台生0%。スクリーニング後の戦略としてまず母児間感染防止を目指した。厚生省の母児間感染防止事業より早く1978年からHBVワクチンを導入。そのため’80年台生まれからすでにその陽性率を抑制、1991年以降の出生者においては現在まで陽性者を確認できない。ほぼ撲滅を果たしている。またHBs抗体もスクリーニングを行った。B型肝炎キャリアではない一般住民(10~30才)のHBs抗体陽性率がワクチン導入後14%から3%に低下。不顕性感染も含め、キャリアから地域集団への水平感染リスクの抑止効果も認めた。しかし残り3%の感染リスクを抑止するにはユニバーサルワクチンをめざすべきである。 またスクリーニング後のB型肝炎自然経過を追跡検討。HBeAg陽性例のseroconversion(SC)率を検討。観察開始時20才未満群(n=60)のSC率は4%/年で35才までに累積100%HBe抗体となった。20才時HBeAg陽性群(n=78)のSC率は3%/年でその後累積70% までSCを果たすが残り30%はHBeAg陽性で肝炎が持続。35才時HBeAg陽性群(n=120)のSC率は1%/年でその後累積55%までSCし、残り45%はHBeAg陽性の肝炎が持続。以上から20才未満HBeAg陽性キャリアの治療介入は原則不要、35才以上では自然経過での臨床的治癒の期待は低く、線維化進展阻止を目指した積極的治療介入の検討が必要。20才台は35才までに100%のSCをめざした短期的治療介入の時期を十分考慮しつつ厳重観察する必要がある。B型肝炎患者の一生を考えれば、20才台のうちにHBeAg陽性B型肝炎をスクリーニングし、そして100%臨床的治癒に持ち込む管理こそが最も評価される治療修飾と考える。 |