| 共同演者 |
浦田 淳資(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 阿部 真也(済生会熊本病院 外科), 金光 敬一郎(済生会熊本病院 外科), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理部), 広田 昌彦(熊本大学医学部附属病院 消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大学医学部附属病院 消化器外科), 本田 由美(熊本大学医学部附属病院 病理部), 猪山 賢一(熊本大学医学部附属病院 病理部) |
| 抄録 |
症例は59歳女性。2006年11月近医にてHbA1cの急激な上昇および膵頭部腫瘤を指摘され,同年12月1日精査目的にて当科外来受診となった。腹部超音波検査,超音波内視鏡検査(EUS)では膵頭部から体部にかけて約40mm大で比較的境界明瞭な膵実質と等エコーの腫瘤を認めた。内部に点状高エコーを認め,尾側膵管の拡張はみられなかった。腹部造影CTでは,膵頭部に早期相で正常膵よりも造影効果が強い約3cm大の腫瘤の形成を認めた。末梢側には数箇所嚢胞を形成しており,明らかな膵管の拡張はなかった。MRCPでは腫瘤部で膵管が途絶しており,腫瘤部より尾側では主膵管が軽度拡張していた。また体尾部では嚢胞形成を数箇所認めた。拡散強調画像では膵全体がやや高信号で,特に腫瘤部は高信号であった。ERCPでは膵管が膵頭部に限局してなだらかに狭窄しており,胆管が強く腫瘤側に変位していた。ERCP時に回収した膵液細胞診では悪性細胞は認めなかった。PETでは腫瘤部に一致して高度の集積を認めた。腹部血管造影検査では膵周囲の動脈には明かなencasementを認めなかったが,SMVに圧排像を認めた。血液生化学的データでは,腫瘍マーカーはCA19-9 18U/ml,DUPAN-II 25.00≧,SPAN-I 18U/mlといずれも上昇を認めなかった。また血清IgG値 1448mg/dl,IgG4 257mg/dl,ANA 40倍,RF 213IU/mlと血清IgG4値,血清RF値の上昇を認めた。以上の所見より膵癌あるいは自己免疫性膵炎を鑑別疾患にあげ,EUS-FNAを施行した。細胞診ではN/C比が高い検体が採取され,一部核分裂像がみられるものの全体的に悪性の所見に乏しく良悪性の診断困難であった。膵癌が否定できないことから平成19年2月幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)を施行したところ,病理組織学的に腫瘍性増殖の所見はなく,間質の著明な線維化,形質細胞やリンパ球の浸潤,リンパ濾胞形成がみられた。免疫染色にてIgG4陽性の形質細胞を多数認め,自己免疫性膵炎と診断した。今回われわれは膵癌との鑑別が困難であった限局性自己免疫性膵炎の1例を経験したので、文献的考察を加え報告する。 |