セッション情報 一般演題

タイトル 194:

診断に苦慮したTS1膵癌の一切除例

演者 松尾 健(久留米大学内科学講座消化器内科部門)
共同演者 加治 亮平(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 岡部 義信(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 石田 祐介(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 菅 偉哉(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 鶴田 修(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 川原 隆一(久留米大学外科学講座), 堀内 彦之(久留米大学外科学講座), 木下 壽文(久留米大学外科学講座), 内藤 慶紀(久留米大学病理学講座), 岩永 真一(医療法人清和会長田病院), 佐田 通夫(久留米大学内科学講座消化器内科部門)
抄録 症例は72歳女性。生来健康。2007年1月下旬に急性膵炎を発症し近医で保存的加療を受けた際に膵尾部に約15mmの嚢胞性病変を指摘された。その後、外来にて経過観察されていたが同年4月下旬に胆嚢炎を発症し、再入院した際の画像検査で嚢胞性病変の増大傾向を認めたため、精査目的に当院紹介入院となった。入院時現症では持続する軽度の心窩部痛、背部痛を認め、また血液生化学検査にて膵型AMY 753 U/lと高値を示し、軽症急性膵炎を併発していた。保存的加療後に各画像診断を施行した。EUSでは膵尾部に約20 mm大の内部エコーがやや不均一な低エコーを呈する境界明瞭な嚢胞様病変認めた。明らかな主膵管との交通は認めなかった。腹部造影CTでは、単純像で同病変は周囲膵組織と同様のintensityを呈し、一部に石灰化と思われるhigh intensity areaを認め、enhance像では造影効果を認めなかった。また、その周囲に充実部の指摘はできなかった。ERPでは、乳頭の開大はなく膵尾部に主膵管の先細り狭窄を認め、狭窄部より尾側に嚢胞が描出され、嚢胞内部に陰影欠損を数箇所認めた。同部より尾側の主膵管は拡張していた。狭窄部におけるブラシ擦過細胞診で、異型細胞の検出はなかった。以上の所見より膵炎症状を繰り返すIPMN、もしくは膵炎後仮性嚢胞、貯留嚢胞を合併した通常型膵管癌などが鑑別診断に挙げられたが確定診断に至らず、十分なInformed consentを得たうえ膵体尾部切除を施行した。摘出病理診断はT3, N0, M0, StageIIIの通常型膵管癌であった。術前に嚢胞様を呈した病変は拡張した主膵管で、内腔は蛋白栓様物質が充満していた。癌はその周囲に存在しており、膵管狭窄部には癌は認めなかった。今回我々は術前画像診断では、嚢胞様病変が主体で癌の存在診断に苦慮した症例を経験したため、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 膵癌, 診断