セッション情報 一般演題

タイトル 133:

PD術後の発症から肝不全死亡まで長期経過観察したNASHの一例

演者 川下 浩(長崎労災病院 内科)
共同演者 井上 長三(長崎労災病院 内科), 戸簾 戸簾 智加志(長崎労災病院 内科), 宮原 晋一(長崎労災病院 病理科)
抄録 症例は72才女性。主訴は失禁と言動異常。家族歴は父に胃癌、兄に糖尿病。既往歴は飲酒なし、喫煙なし、肥満歴なし、糖尿病なし。現病歴は、1998年10年9月14日、総胆管癌に対し当院外科にて膵頭十二指腸切除術を施行された。退院前の同年11月10日の腹部CTでは、著明な脂肪肝を認めていた。退院後、胆管癌の再発は無かったが、脂肪肝と肝機能異常が持続した。2003年頃より血小板減少と総ビリルビンの上昇傾向を認めていた。2004年頃より足のふらつき、全身倦怠感が出現した。同年8月、腹部エコーで脾腫、上部消化管内視鏡で食道静脈瘤を認めた。2005年6月3日、失禁や異常行動、意識レベルの低下があり、当院救急外来を受診。高アンモニア血症を認め、肝性脳症の診断で外科に入院となった。低蛋白食や分枝鎖アミノ酸製剤等にて改善傾向であったが、肝障害の原因精査目的で、同月9日当科転科となった。入院時現症は身長143cm、体重41kg(BMI 20)、体温37.2℃、貧血なし、黄疸あり、くも状血管腫あり、腹水なし、浮腫あり、羽ばたき振戦なし。入院時検査所見は、Plt 6.0万/μl, PT 31.6%, Alb 2.2g/dl, TB 3.3mg/dl, AST 32IU/l, ALT 18IU/l, ALP 426 IU/l, γGTP 19 IU/l, NH3 197μg/dl, FBS 97mg/dl, IRI 10μU/ml, HbA1c 4.1%, IgG 1750mg/dl, IgA 536mg/dl, IgM 197mg/dl, フェリチン 54ng/ml, Cu 48μg/dl, セルロプラスミン 12.3mg/dl, ANA 陰性, AMA 陰性, HBs抗原 陰性, HBc抗体 陰性, HCV抗体 陰性。肝硬変の原因精査のために同意を得て、エコー下肝生検を行った。肝は小結節性の肝硬変であった。脂肪化はわずかに認められる程度であったが、一部に肝細胞のバルーニングやマロリー体が認められた。7月8日に退院となったが、2007年5月9日、肝不全にて入院し、同月21日死亡した。剖検では、肝臓は、480gと著明に萎縮していた。マロリー体、好中球浸潤を伴う炎症所見は見られず、脂肪化も軽微で、完成した小結節性肝硬変の所見のみであった。膵頭十二指腸切除後に著明な脂肪肝を呈し、7年の経過で肝硬変へと進展した。臨床経過、検査・組織所見から、NASHによる肝硬変と考えられた。発症から死亡までの長期経過を観察できた症例は稀であるため報告する。
索引用語 NASH, 膵頭十二指腸切除