セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 132:抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性のNASHの1例 |
演者 | 宮里 賢(医療法人 かりゆし会 ハートライフ病院) |
共同演者 | 新城 勇人(医療法人 かりゆし会 ハートライフ病院), 折田 均(医療法人 かりゆし会 ハートライフ病院), 仲吉 朝邦(医療法人 かりゆし会 ハートライフ病院), 郷 克己(医療法人 かりゆし会 ハートライフ病院), 佐久川 廣(医療法人 かりゆし会 ハートライフ病院) |
抄録 | 抗ミトコンドリア抗体(AMA)は原発性胆汁性肝硬変(PBC)の約9割で陽性となることが広く知られている。今回我々はAMA陽性であったNASHの1例を経験したので報告する。 【症例】57歳、女性 【主訴】肝機能異常 【既往歴】特記事項なし 【生活歴】飲酒歴なし。輸血歴なし。 【現病歴】平成14年の人間ドックにて肝機能障害を指摘。翌年4月に他院にて肝生検を施行され、non specific reactive hepatitisの所見であった。その後は同院外来にて無治療で経過観察となる。平成18年8月に当院を受診し、ALT値およびγ-GTP値の上昇を認め、UDCAを投与するも改善せず。平成19年9月8日に肝生検目的で入院となる。 【入院時理学所見】黄疸なし。肝脾腫なし。身長149cm、体重59kg、BMI 26.4 【腹部超音波検査】軽度の肝腫大と肝実質の粗雑化を認める。 【入院時検査所見】AST 62IU/l、ALT 73IU/l、T-bil 0.8mg/dl、ALP 353IU/l、γ-GTP137IU/l、ZTT 14U、Alb 4.7g/dl、Tcho 244mg/dl、TG 248mg/dl、IgG 1493mg/dl、IgM 135mg/dl、PT 109%、抗核抗体40倍(斑紋型)、抗ミトコンドリア抗体20倍、抗ミトコンドリアM2抗体 38、4型コラーゲン7S 3.4ng/ml、ヒアルロン酸 16ng/ml 【肝病理組織所見】約30%の大脂肪滴主体の脂肪変性と肝細胞の風船様腫大、肝細胞周囲の線維化を認めた。非化膿性破壊性胆管炎等の胆管障害は認めなかった。 【考察】健常者でのAMA陽性率は0.3~0.7%程度とされ、PBC以外の慢性肝疾患や膠原病等でも低力価陽性となることがある。AMA陽性のNASHについての報告は希少で、本邦でも昨年AMA陽性のPBCにNASHを合併した3症例が報告されているのみである。本症例はAMA陽性で当初PBCも疑われたが、生検の結果NASHと診断した。 【結論】AMA陽性の肝機能障害をみた場合、トランスアミナーゼ優位の上昇や脂肪肝を合併する際にはNASHの可能性も念頭において診療にあたることが重要である。 |
索引用語 | 抗ミトコンドリア抗体, NASH |