セッション情報 ワークショップ1

タイトル 研-36:

膵管ステント留置が著効した出血性膵仮性嚢胞と膵管狭窄を伴う慢性膵炎の一例

演者 梅木 千津子(長崎市立市民病院 内科)
共同演者 山尾 拓史(長崎市立市民病院 内科), 山川 正規(長崎市立市民病院 内科), 水田 陽平(長崎大学 第二内科), 河野 茂(長崎大学 第二内科)
抄録 症例は51歳、男性。主訴は心窩部痛、背部痛。平成18年6月頃より胸焼けあり、AMY高値のため9月2日国立嬉野医療センター紹介受診。アルコールによる急性膵炎の診断にて入院治療。その後も急性膵炎をたびたび発症し入院治療。平成19年2月6日膵炎再発し3月16日まで近医入院治療。経口摂取再開すると増悪をくりかえしていた。4月4日膵嚢胞内出血あり、SMVからPVに血栓を認めワーファリン治療が行われ4月23日CT検査で血栓は改善傾向にあったが嚢胞は45mmへ増大、膵炎増悪したため4月24日ワーファリン中止。4月27日国立長崎医療センターへ転院。その後絶食中も膵炎発作を繰り返すため精査、加療目的にて6月11日当院転院となった。EUS時乳頭部の開口部より血液の流出あり、膵頭部から鈎部に25mm大の内部不均一な嚢胞性病変を認めた。膵実質に腫瘤は認めなかった。CT,MRIも同様で、嚢胞内出血と凝血塊の貯留が疑われた。またMRCPで嚢胞部の主膵管は狭窄し尾側膵管は拡張していた。血管造影検査では仮性動脈瘤などの出血源となる所見は認めず、血管の圧排所見を認めるのみであった。絶食下に検査を進めるもしばしば強い腹痛と急性膵炎を発症。難治性であり外科的治療を前提に精査を進め、6月20日ERCPでは膵頭部に膵管と交通のある嚢胞性病変を認め嚢胞内に凝血塊と思われる可動性のある透亮像を認めた。主膵管の圧排狭窄と凝血塊による膵管閉塞で尾側膵管内圧が上昇し膵炎発作を繰り返しているものと思われ、膵管ステント(7Fr5cm)を挿入。以後、経口摂取再開しても腹痛、膵炎はみられず退院。1ヶ月後のCT検査で膵嚢胞は消失し現在も外来にて経過観察中である。出血性膵仮性嚢胞と膵管狭窄を伴う難治性慢性膵炎に対し膵管ステントの留置が有用であった。出血性膵仮性嚢胞、難治性膵炎、Hemosuccus pancreatitisはいずれも外科的治療を要することが多く本症例も当初は外科的治療を念頭に置き精査を進めたが、低侵襲な膵管ステント留置のみで治療効果が得られており、若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 膵管ステント, 慢性膵炎